70代夫婦で貯蓄「1000万円」は少ない方?友人たちは「2000万円はないと不安」と言うのですが……
過去に「老後2000万円問題」が話題となったことから、老後に備えて貯蓄が2000万円なければ不安になってしまう方も珍しくないようです。しかし、1000万円ならともかく、2000万円も年を取ってから用意することは、現実的には簡単ではないでしょう。そこで、70代夫婦の貯蓄額について考えていきます。
70代夫婦世帯の貯蓄平均額は1905万円と推定
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によれば、世帯主が70歳代の世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)における金融資産保有額の平均額は1905万円です。ここでいう「金融資産保有額」は預貯金の他、株や生命保険なども含んだ、貯蓄全体の額をいいます。 これだけ見ると、貯蓄額1000万円は、決して多いとはいえないかもしれません。しかし、中央値は800万円となっていることから、少ない方とも言い切れないようです。 ただし、70歳代は貯蓄額の二極化が生じています。最も多いのは「金融資産非保有」という世帯で、この年齢層全体の18.7%を占めています。一方で、3000万円以上保有しているという世帯は、ほぼ同様の18.3%です。 中央値が800万円となっていること、そして貯蓄額が二極化していることを考えると、70代夫婦で1000万円の貯蓄は、むしろ多い方といえるかもしれません。
70代の夫婦で1000万円の貯蓄があれば、老後の生活には足りるのか
では実際に「70代の夫婦が1000万円の貯蓄で老後に生活していくことができるのか」というと、結論としては個別の事情によって異なるため、一概に「生活できる」「生活できない」とは言い切れない部分もあります。 そこで、参考までに、統計を基に考えてみましょう。総務省統計局の「家計調査年報(2022年)」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、平均して毎月2万2270円の不足が生じています。年間での不足額は、26万7240円になります。仮にその後20年間、老後の生活が続くとすると、不足額は総額で534万4800円となります。 上記より、統計から確認できる一般的な夫婦の生活であれば、老後資金1000万円でも足りる可能性が高いと考えられるでしょう。