柄本時生&伊藤万理華にインタビュー
新感覚モキュメンタリー『PORTAL-X ~ドアの向こうの観察記録~』について10の質問
新感覚モキュメンタリー『PORTAL-X ~ドアの向こうの観察記録~』(1月12日よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドで放送・配信)。突然見つかった異次元への扉「ポータル」の向こうに広がるのは、この世界とは別の歴史を辿った並行世界。その内部観察を記録した映像に登場するのは、奇妙ながらもどこか現実みのある未来の姿ばかり。出演した柄本時生と伊藤万理華に、観る側の常識を揺さぶる本作について、10の質問をぶつけてみた。
──Q.1 台本を読んだ時の感想を教えてください。 柄本:「すごくありえるな」と思ったのが最初の印象でした。いつ来るかはわからないけど、どれも僕らが行き着きうる未来の姿だなって。1回ごとに準備された裏設定の資料がとにかく膨大な量で、そのことにも驚きました。設定資料の多い作品は他にもありますが、ここまで歴史などの背景を考証して書き込まれたものは、僕は初めて見ました。 伊藤:並行世界を説明する設定資料に、セリフはちょっとだけ。今までお仕事でいただく台本とは全く違う形式だったので新鮮でした。台本には、世界観を構築するために伊藤峻太監督が考えた、架空の生き物や道具の図が描かれていて、「これがどんな感じで登場するんだろう!」と想像が膨らみました。 ──Q.2 本作は、フィクションをドキュメンタリーのように見せかけて演出する「SFモキュメンタリー」ですが、同様のジャンルでお好きな作品はありますか? 柄本:モキュメンタリーと呼んでいいのかわからないですけど、『第9地区』が好きです。ニール・ブロムカンプ監督の作品は結構好きで。今回の伊藤監督にも思ったことですけど、「世間から評価されたい」という欲求以上に、「自分のやりたいことを実現するんだ」という、監督のクリエイティビティや“オタクマインド”が作品を通して見えると、とても感動するんです。 伊藤:『ストレンジャー・シングス 未知の世界』とか好きです。住んでいる街が、実は裏の世界とつながっていて、何気ない場所に境界線が隠れている……という設定が好きなんです。数年前、母校の小学校に遊びに行ったら、小さな机や椅子が急にジオラマみたいに見えてきて、時間が止まったような不思議な感じがしたんですけど、その時も、日常がSF的な世界とつながったような感覚を味わいました。 ──Q.3 柄本さんはポータルリポーターのカイフ役を、伊藤さんはポータルシューター(*カメラマン)のルナ役を演じました。どのように役作りをしましたか? 柄本:いつも僕が大事にしているのは、初めて台本を読んだ時に頭に浮かぶ、そのキャラクターの口調や雰囲気なんです。今回演じたカイフで言うと、優しい人間で、ルナの上司という立場でもあるけど、攻撃的な物言いはしないだろうなと感じたので、そこは大切にしました。あとは、リポーターとして持っているであろう好奇心も意識しましたね。 伊藤:完全にカメラマンとして立っていました。撮影中も自分でカメラを回していたので、私自身が「撮られている」という意識がほとんどなかったかも。リポーターとして着ていた衣装も、現実世界ではあまり身につけないような特殊なデザインだったので、作品世界に没入しやすかったです。 ──Q.4 本編にはVFXも豊富に使われていましたが、撮影現場はどんな雰囲気だったのでしょうか? 柄本:後半はグリーンバックでの撮影が増えてきて、監督からは「一度しゃがんでからジャンプしてください」とか指示されるんですけど、僕らは「どんな画になるんだ?」と不思議に思いながら演じてました。監督にだけは完成した画が見えていたんでしょうね(笑)。小道具として準備されるものすべてが、初めて目にするものばかりで面白かったです。“運勢を数値化する機械”とか。 伊藤:「実際は空が赤くなります」とか「あの辺りに巨大生物が来ます」とか、後から要素が加わるシーンが多かったので、撮影中は不思議な感覚でした。監督とは現場でそこまでお話をしていたわけではありませんが、事前にいただいた設定資料を見ながら想像を膨らませていたので、完成した映像を観た時はすごく感動しました。