黒木メイサが「降り積もれ孤独な死よ」で7年ぶりの地上波へ、ハワイ移住後の生活は「人生や人との関わり方に向き合う時間だった」
7月7日(日)スタート、成田凌が主演を務める新ドラマ「降り積もれ孤独な死よ」(読売テレビ・日本テレビ系)に、成田演じる主人公の先輩刑事役として出演する黒木メイサ。地上波ドラマへの出演は7年ぶりという彼女にインタビューを敢行。ドラマに関してはもちろんのこと、2019年に生活拠点を映したハワイでの暮らしとそこでの気づきなど、仕事からプライベートまで、さまざまな質問に答えてくれた。 【写真】スタイル抜群…黒木メイサの全身ショット ■ドラマオファーは「とてもいい機会をいただいた」 ――2017年から7年ぶりの地上波ドラマ出演となります。今回の依頼を受けたときのお気持ちを教えてください。 お芝居をするのが久しぶりなので、ちょっと緊張しています(笑)。ただ、私には15歳からこの仕事をしてきた経験がありますし、プライベートの部分でもいろいろな人生経験を積んできた今だからこそ、これまでとは違う視点でものごとを見ることができるのでは、と思っていまして。そういう意味を含めて、前向きに作品作りに関わっていきたいと思っていたタイミングでもあったので、今回のお話をいただけたときはうれしかったです。 ――女優復帰を思い立ったのは、なにかきっかけがあったでのしょうか? 逆に言うと、とくに休業宣言をしたつもりはなくて(笑)。だから、これといったきっかけがあったわけではないですが、2019年から生活拠点をハワイに移し、いろいろな空気に触れてきた中で、なんとなく自分の視野が広がったかなと思う部分があったんですよね。そんなことをぼんやり思っていたところだったので、とてもいい機会をいただきました。 ■演じる五味はストーリーテラー ――2017年に起きた少年少女監禁死体遺棄事件と、若者たちが社会や家族からの逃げ場所としている都内某所から1人の少女が失踪した2024年の事件。過去と現在が交差するクライムサスペンスとなっていますが、脚本を読んだ感想は? 過去と現在がどう繋がっていくのかを含め、ストーリーに引きこまれました。自分の居場所を見つけられない若者たちのことは、私としても気になる社会問題であったので、それをドラマとして世の中に伝えること、そこに携われるのはすごくうれしいです。 ――黒木さんが演じる五味明日香は、主人公・冴木仁(成田凌)の先輩刑事となります。五味のキャラクターをどう捉えていますか? 五味は、まだまだ男社会の警察で刑事として生きてきているので、さまざまなことを経験してきていると思います。五味と冴木の最初のシーンで冴木をからかうところがあるのですが、口では悪ぶったことを言っていても、本当は後輩のことをすごく思っているんだろうなと。五味はわかりやすく何かをやってあげるタイプではないですが、周りもそれをわかっているから、クールで頼れる先輩でありながら、事件に対する熱い思いもしっかり出していければと思っています。 ――ご自身との共通点はありますか? 私も今年36歳で、リアルに後輩が現場にどんどん出てきているので、そういう自分の経験を反映しながら、五味を演じていけたらいいなと思います。あと、これは自分との共通点ではないですが、五味はストーリーテラー的な役割を担っているところもあるので、観ている方にナチュラルに受け止めてもらえるようにしていきたいなと思っています。 ■主演の成田凌とは「はじめまして」 ――黒木さんは(取材時には)まだ撮影には参加されていないということですが、現場で楽しみにしていることはありますか? 今は脚本を読んだり、自分の中でのイメージをふくらませたり、準備をしている段階で。やっぱり現場に行かないとわからないことがたくさんあるし、結局は相手の俳優さんと対峙することで初めて生まれることもあると思うで、今はどういう化学反応が現場で起きるのかを楽しみにしています。 ――冴木を演じる成田凌さんとは初共演になりますね。 まったくの「はじめまして」ですね。ただ、撮影初日から冴木とのシーンが続くので、そこでいい空気感を作れたら、最後までいい感じで走っていけると思うので、今は初日が勝負かなと思っています。だから、一緒にお芝居をさせていただくのは、すごく楽しみです。 ■ハワイでの生活は「新しい刺激に」 ――先ほど「休業宣言はしたつもりはなくて」と言われていましたが、それでも時間は空いているわけで、その間にお仕事に対する焦りを感じたことはなかったのでしょうか? なかったですね。もともと計画を立てて、そのとおりに動くのが苦手なタイプだったので(笑)。つねに今をよくすることに意識を向けて生きているので、「海外に行っている間に仕事が無くなるかも…」と考えたことはないです。もちろん、戻ってきても居場所がなければ仕事できないですけど、私にとっては自分にとってのベストを選ぶのが一番で、これからもそういうふうにやっていきたいと思っています。 ――ハワイでの生活で「視野が広がった」とも言われていましたが、向こうでの生活で学びになったことはありますか? これはコロナ禍が重なったこともあるかもしれませんが、自分の人生もそうだし、人との関わり方に対しても真摯に向き合う時間だった気がします。東京でお仕事をさせてもらっているときは、つねにせかせかしていて、小走り状態で生きている感じだったので、ハワイでは子育てに集中しつつも、新しい土地で新しい人間関係を築く、という経験をしたのは大きかったと思います。 ――やはり日本では“女優・黒木メイサ”として見られてしまうから? そうですね。でも、それ以上にハワイでは「○○ちゃんママ」ではなく、基本的に個人名というか、ファーストネームで呼ばれるんですよね。自分は「誰かのママ」ではなく、「私は私」という強い主張があるので、私も“自分”を意識するようになりました。もちろん、子どもたちのママであることには変わりがないので、「あなたは何ですか?」と問われたら「あの子たちの母親です」と一番に応えるけれど、そういう環境で過ごすことができたのは新しい刺激ではあったと思います。 ■子どもが撮った写真が“嘘のない自分” ――ここからは少し下世話な質問になってしまいますが、ハワイは紫外線もすごいですよね。女優としては“太陽=日焼け”は大敵だと思うのですが、ケアはされていましたか? 私、太陽が大好きなんですよ。大好きすぎて、真っ黒になってしまうから、そこからが大変で(笑)。でも、さすがにハワイに行ってからは、日焼け止めを毎日塗るようになりました。前はそれすらもできていなかったので、それが習慣づいたのはハワイに行ったおかげかもしれませんね(笑)。 ――体型維持についてもお聞きしたいです。先ほど撮影を拝見していたら、ただ細いだけでなく美しくヒップアップされていて、とてもかっこいいなと思いました。 それはうれしい! でも、二人目を生んだ後、運動をしなくなっていたので、体がゆるんでしまったんですよね。たぶん、みなさんもコロナ禍によって生活が変わったと思いますが、私はそこからとくに健康にフォーカスを置くようになって。そのときに運動を再開しようと思って、ビフォアフターのために私の全身写真を子どもに撮ってもらったんです。 ――いろんな意味で、嘘のない写真ということですね。 そう(笑)! その写真を見たときに「え?」となって、自分が思っている以上にいろいろなところが垂れていることに気づいたんですよね。それでまたちょっと運動をやる気になって、子どもたちが撮ってくれるビフォアフターの写真で経過を楽しんでいくというやり方をしていました。今はドラマの撮影に向けて、もう少し頑張っている感じですね。 ■自分で決め込まず「さまざまのことに挑戦したい」 ――これからドラマの放送が始まりますが、少し前は「活動の拠点を海外に置きたい」と言われていたと思います。今の思いはいかがでしょうか? 先ほどお話したことと重複してしまうかもしれませんが、私は「何年後はここにいる」ということをあまり考えていないので、来年は違うところにいるかもしれないし、このまま日本での活動を続けているかもしれません。若い頃は「海外でやってみたい」と言いつつも、どこか恐怖心があるし、自分で逃げ道を作って本気で挑戦してこなかったところがあったので、そこは積極的にオーディションを受けるなどして挑戦していきたいと思います。でも、まずはこのドラマの撮影を頑張ることが最優先で、今後はこれまでと同じように自分で決め込むことはせず、さまざまなことに挑戦していければいいなと思っています。 取材・文=馬場英美 ◆スタッフクレジット ヘア&メーク=SAKURA(makiura office) スタイリスト=亘つぐみ(TW) ◆衣装クレジット ピアス、ネックレス=talkative(トーカティブ) リング=BAR Jewellery(バー ジュエリー) 衣装協力=Calvin Klein