『極悪女王』の時代に生まれたかった― 長与千種イズム受け継いだ彩羽匠が作品を通して感じたこと
プロレスラーは「殴られても蹴られても立ち上がる」
9月12日、後楽園ホール。『極悪女王』の配信に先駆けて、Netflix主催のイベントが行われた。その中の目玉が、長与プロデュースの「彩羽匠&桃野美桜&Maria&川畑梨瑚vsドレイク森松&永島千佳世&DASH・チサコ&ZAP」の8人タッグマッチだった。 「これは完全にベビーフェイスvsヒールの試合を求められているんだなと思いました。こっちの4人はいつも組んだり戦ったりしているマーベラスの仲間なのでチームワークは問題ないと思ったんですけど、相手に曲者が揃いすぎていて(笑)。当日もバットやパイプ椅子を持ってきてインパクトが凄いですし。チサコさんのダイブ(リング上にあるラダーのてっぺんから、場外のテーブルに寝かせられた彩羽の上に飛んだホルモンスプラッシュ。当然彩羽の下にあったテーブルは完全に破壊された)を食らったときは、内臓が全部飛び出ていったかと思いました」 結果、28分超えの死闘は彩羽がスワントーンボムからランニングスリーという必勝フルコースで、ドレイクにフォール勝ち。そして試合後、「自分たちの仕事は、これです」と超満員の後楽園に彩羽は語り掛けた。 「プロレスを最初に私が見たときに、なんでこんなに殴られるんだろう、蹴られるんだろうと。でもそこから立ち上がるのがプロレスラーなんです。自分がプロレスラーとして見せたいものを見せることができた試合、伝わったと感じた試合だからあの言葉が言えたんです。殴られても蹴られても立ち上がる……大人になったら本気になることってなかなかないと思うんですけど、何かに全力に立ち向かう姿を伝えたかったんです。そして長与さんやダンプさんの時代はもちろん、その前の時代から続く昔から紡いできたものをしっかり見せていかないといけないという使命感もありました」 (23日掲載の後編へ続く)
橋場了吾