高齢者支援の輪、広げよう 熊本豪雨被災地で活動の団体、一般社団法人へ移行
八代市を拠点に、熊本豪雨の高齢被災者らの支援を続ける団体「やっちろ保健室」が23日付で、一般社団法人「看護のココロ」を設立し、移行した。国の休眠預金活用制度で交付された預金を原資にした。同市で活動を続ける一方、これまでの被災者支援のノウハウを生かして、県内各地で高齢者支援などの担い手育成にも力を入れる。 同団体は2020年8月、同市出身の看護師で、地域で看護や健康相談に携わる「コミュニティナース」の蓑田由貴さん(34)=合志市=が結成。八代市本町と同市坂本町に相談窓口を設け、防災勉強会を開くなどして新型コロナウイルスの影響で孤立しがちな高齢者を支援してきた。 28日、記念イベントを熊本市中央区で開き、認知症になっても暮らしやすい地域社会について意見交換。県立大の安武綾准教授=看護学=が基調講演し、25年に65歳以上の認知症患者が700万人に上るという国の推計を紹介。「65歳以上の3人に1人が認知症予備軍となるため、家族のケアも重要だ」と強調した。
「認知症の人と家族の会」県支部の杉山正見さん(68)は、認知症の妻を介護した経験から「本人が病気に抵抗感が強い時期は集いに誘いづらい」と問題提起。天草市で地域の集いを開く倉本剛史医師は「病気や年齢を限定しない居場所づくりを心がけている」と力を込めた。蓑田さんは「法人化を機に横のつながりを広げたい」と話した。(深川杏樹)