60代、同じ時期から「米ドル」で投資をスタート…“老後の不労所得が確定する人”と“痛い目にあう人”の決定的な差【CFPが解説】
まずは約1,300万円分、米ドルを購入して成功
昨年60歳で定年を迎えた大田さん(仮名)は、老後資金も十分に貯めたという自負もあり、悠々自適なリタイアメント生活を始めることにしました。 そんな大田さんですが、前出の柴田さんと同じ2022年の夏ごろ(6月)に、日米金利差もさることながら、インフレ傾向になっても金融緩和を続ける日本円価値の希釈化に不安を覚えます。そこで、手持ち余裕資金のなかから為替手数料の安いネット銀行で、1ドル130円台で10万ドルほど、米ドルを購入しました。日本円にして約1,300万円強の投資となりました。 大田さんの最終的な狙いも利回りの高い米ドル建て債券を購入することでしたが、一般的な金融情報によると当時はまだ、米国としても利上げの道半ばということで、長期間の利率を確定させてしまう債券ではなく、利率のみならず流動性も高い米ドル建てMMFにてしばらく運用することにしました。 大田さんが最終的に残存期間10年弱で利率5.7%台という本邦メガバンク発行の米ドル建て既発債を購入したのは、10万米ドル分を購入してから1年と少しを過ぎた今年10月でした。このタイミングを選んだのは、FRBによる金利引き上げがいよいよ最終局面を迎えつつあるとの観測が増えてきたからです。 もちろん米国でのインフレが鎮静化せずに、米ドル金利がさらに上昇してしまい大田さんが購入した債券価格が将来下落する可能性は否定できません。しかし大田さんの場合は中途売却の可能性がない余裕資金での購入であり、債券は満期まで保有すれば、額面価額で償還されます。 また、債券などではなく将来的に米国株式やETF等に投資すれば、大田さんがコミットした以上の利回りが得られる可能性もあるでしょう。しかし、大田さんの年齢からすればそこで冒険をする必要はなく、「足るを知る」との発想で信用格付けの高いメガバンク発行の米ドル建て債券を購入したのです。 償還日までの約10年間、大田さんには毎年6,000ドル弱の「不労所得」が確定しました。 <成功要因> 為替レートにかかわらず金融資産の一定割合を米ドルで保有することを基軸に考え、かつ、償還日まで持ち続ける余裕資金で対応したこと