ウーバーイーツの配達中にたまーにある、子供たちとのほっこりエピソード【チャリンコ爆走配達日誌】
クリスマスに体験したのはサンタさんと間違われた話。 私は12月24日と25日に配達する際、少しヒゲを伸ばし、赤い上着を着て配達しています。私は体が大きい上、ヒゲに白髪が多いので、ウーバーの大きなリュックを背負っているとサンタっぽく見えます。そのため配達先でのウケが良く、チップをもらえる件数がグンと増えます。そんなわけでコスプレではないですが、それとなくサンタを意識した服装でやっています。 そんな邪(よこしま)な心でお惣菜の店からチキンを運んでいたときのこと。向かった先のマンションのドア横のボタンを押すと、出てきたのは5歳ぐらいの女の子。普段通りの手順でチキンを女の子に渡して帰ろうとすると、女の子がじっとこちらを見つめてきます。「これで全部ですよ」と答えると、小さな声でこう言いました。 「〇〇(女の子の名前)はプレゼント、もらえないの?」 どうやら、私を本物のサンタと勘違いした彼女は、ここでサンタが帰ってしまうと、自分はプレゼントがもらえないと思っているようです。しかもどんよりした顔から泣き顔へと変化しそうな雰囲気です。 状況を理解するまで2、3秒かかりましたが、なんとか「私は食べ物を運ぶサンタだから大丈夫。プレゼントを運ぶサンタさんは夜中にくるから楽しみにしてね」というフレーズを返すと女の子に笑顔が戻りました。 ユニークだったのは、インターホンが建物の入口、エレベーター乗り場の前、ドア横と、3箇所あるマンションへ配達した時のこと。 最初の入口でボタンを押すと返ってきたのが子供の声。 「切っても切っても小さくならないものってなーんだ?」 たまたま、そのなぞなぞを別の仕事先で聞いたことがあったので「トランプ」と即答すると「ピンポーン」と声がして自動ドアが開かれました。 この後のインターホンでもなぞなぞを出されると感じ、スマホでなぞなぞサイトを検索しつつエレベーター乗り場へ向かうとインターホンがあり2問目をクリア。そして配達先に到着。ドアの横のインターホンを押して3問目が出されるのを期待していたのですが「ご迷惑をおかけしました!」父親が平謝り。「学校のイベントで近いうちにクイズ大会でもやるんじゃないですか。仕方ないですよ」と話しつつ、父親に商品を渡しました。 こんな風に時々面白い体験をすることがあるので、イヤな思いをすることがあっても配達員はやめられません。 文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明