「私が監督なら…」鈴木彩艶を外すのは得策か?サッカー日本代表「検討の余地がある…」【英国人の視点/アジアカップ2023】
日本代表はAFCアジアカップカタール2023のグループステージを2位で通過し、31日にラウンド16でバーレーン代表と対戦する。イラク代表に敗れるなど、ここまでの戦いは決して楽ではなく、決勝トーナメントに向けて検討の余地があるポジションがいくつかあるはずだ。(文:ショーン・キャロル) 【アジア杯順位表・トーナメント表】AFCアジアカップ カタール2023
●否定的な意見も多いサッカー日本代表のパフォーマンスだが… ここまでのアジアカップでの日本代表のパフォーマンスについては、否定的な論調が多い。たしかに、グループステージでは多くの問題が出てきたものの、最終的にはそれほど苦労することなくラウンド16を突破した。 例えば、ベトナム戦ではラッキーな失点と不運な失点があったものの、その後はうまく立ち回って4-2で勝利した。次の試合ではイラクに1-2で敗れたものの、3試合目ではインドネシアを圧倒し、バーレーンとの有利なラウンド16進出を決めた。 確かに2位通過を果たせば、韓国との厳しい戦いが待っていたかもしれない。しかし、そうならなかったということは、最近のアジアカップで軽視できる相手などほとんどいないことを意味している。韓国はグループEで1勝しかできず、ヨルダン戦では終盤に同点に追いつかれ、マレーシア戦では試合終了間際に同点ゴールを決められている。 それに加えて、主力選手が怪我から復帰したばかりであること、あるいは三笘薫の場合はまだ復帰していないこと、そして欧州組の選手たちの到着が遅かったためにチームとしての準備期間が限られていたこともある。スタートダッシュに遅れたことを日本代表はあまり心配する必要はないだろう。 チャンピオンチームは最初から対戦相手を叩きのめすのではなく、手探りで試合に臨むことが多い。そして、グループリーグ最終戦から水曜日のバーレーン戦までは1週間あり、森保一監督には課題を解決するのに十分な時間が与えられている。 インドネシア戦におけるパフォーマンスは、多くのことを考えさせる材料になっただろう。私が森保監督なら、最初の2試合に先発したチームとは対照的に、このチームを中心に決勝トーナメントに臨むだろう。 ●「検討する余地があるポジションは1つ」 例えば、毎熊晟矢と堂安律は右サイドで素晴らしいコンビネーションを築いていた。菅原由勢や伊東純也を呼び戻してまで、このコンビネーションを崩す理由は見当たらない。菅原は素晴らしい選手だが、ここまでは少し苦しんでいる。伊東は必要に応じてゲームを変える切り札としても活躍できる優れたオプションになる。 もちろん堂安もその役割は果たせるが、インドネシア戦であれだけ目立っていたのだから、再び先発するのは当然だろう。フライブルクでプレーする堂安は常にチームに活力を与え、サムライブルーにあまりないインテンシティとフィジカルの強さを見せ、その疑いの余地がない技術力と狡猾さを補っている。インドネシア戦では不運にもゴールに絡むことができなかったが、彼のトライし続けようとする姿勢は称賛に値する。FIFAワールドカップの時と同じように、日本代表が最も必要とする場面でゴールネットを揺らしてくれる可能性は十分にある。 もう一方のサイドバック、中山雄太も伊藤洋輝(彼は左サイドバックというよりセンターバックだと思う)よりも落ち着いた存在感を示し、より良い配球をもたらすように見えるので、彼の起用を続けるべき。冨安健洋が再びフィットし、センターバックに必要なレベルの安心感と威厳をもたらすことで、4バックのうちの3人は決まり、森保監督が検討する余地があるポジションは1つになった。 これまでに最も熱心に議論されたのは、もちろん鈴木彩艶に関する問題である。この若いGKは、シュートストップに関して当然ともいえる批判を受けた一方で、(とんでもなく愚かな者たちから)不当で卑劣な言葉を浴びた(もっとも、キーボードの向こうからではなく、面と向かって罵詈雑言を浴びせなければならないのなら、彼らはもっと大人しくなるだろうが……)。 ●「明らかに不安定…」鈴木彩艶を起用し続けるべきなのか たしかに、シントトロイデンでプレーするこの男のパフォーマンスは明らかに不安定である。ベトナム戦とイラク戦では失点に直結するミスがあったし、インドネシア戦の終盤の失点を防ぐためにもっと貢献できることがあったはずだ。しかし、これら結果で鈴木を下げろというのは単純で、逆効果になりかねない。 鈴木はまだ21歳という成長過程にあり、今の段階で完成度を求めるのはばかげている。実際、昨夏にベルギーにレンタル移籍するまでに在籍した浦和レッズで、J1でプレーしたのはわずか8試合だけだった。誰が見ても彼は自負心が強く、成熟した性格の持ち主であるが、今彼を戦線離脱させれば、その後の自信喪失は彼の長期的な成長に打撃を与えかねない。 選手も成長するためには苦労する経験が必要であり、苦境に立たされたときに見放したり、真綿でくるんで守ったりしてはいけない。大迫敬介、シュミット・ダニエル、中村航輔、谷晃生、小島亨介が先発候補としてある程度は残っているが、彼らはカタールにいない。 例えば、前川黛也は日本代表としてわずか9分しかプレーしていない。野澤大志ブランドンは先月21歳になったばかりで、J1での出場はわずか10試合しかない。そんな選手をいきなり投入するのは得策なのだろうか。 森保監督の仕事はもちろんサッカーで勝つチームを作ることだが、選手を管理し、守る責任もある。鈴木をナンバー1の長期的な選択肢として見ているのであれば、今は彼に固執した方がいいだろう。 サッカーでは一貫性が重要な鍵を握ることが多い。日本代表はグループステージの港から出るのに少し苦労したが、ノックアウトラウンドの険しい海に向かう中で、平常心とできるだけ多くの安定が必要なのは間違いない。 (文:ショーン・キャロル)