“東南アジア”で存在感を放つユニクロ、ダイソー、ドン・キホーテに共通する1つの条件
デジタルの最先端は米中だと言われるが、日本が学ぶべきは「東南アジア」である……。そう主張するのは、シンガポールにてコンサルティングを行う坂田幸樹氏だ。そのような東南アジアでも活躍する日本企業とは?
東南アジアでどんどん進むデジタル革命
世界は、モノの取引が国際的に広まった国際化の時代から、ヒト・モノ・カネ・情報がボーダレスに取引されるグローバル化の時代を経て、デジタル革命によってグローバル化が進化することでリージョン化の時代に突入した。 リージョン化の時代には、少人数でも実現できることが飛躍的に増え、東南アジアでも多数のスタートアップや財閥による社会変革が生まれている。 たとえば、ベトナムの財閥であるビングループが設立した電気自動車メーカーの「ビンファスト」は、一時時価総額が28兆円にまで上った。同社の電気自動車を利用したタクシーサービスはベトナムで一気に広がりを見せている。また、ビングループが運営する「ビンホームズスマートシティ」には5万人以上が住んでおり、そこには同グループが運営するショッピングモールや国際総合病院、学校などが備わっている。 それ以外にもマレーシアの「グラブ」や、インドネシアの「ゴジェック」などのいわゆるスーパーアプリはすでに社会インフラとなっており、さまざまな変革を起こしている。ユーザは自宅にいながら食事を頼んだり、遠隔医療で診療を受けて薬を受け取ったりすることができる。
ユニクロ、ダイソー、ドン・キホーテがないショッピングモールはイケてない
日本企業は自動車業界やエレクトロニクス業界がけん引する形で、東南アジアでの事業を拡大した。しかし、リージョン化によって中国、韓国企業に加えて東南アジア企業が台頭してきたことによって、その存在は脅かされている。 そのような中でも勢いよく拡大している日本企業がある。それらはズバリ、ユニクロ、ダイソー、ドン・キホーテの3社である。 これらの企業に共通するのは、独自に築き上げたマーチャンダイジングやサプライチェーンの強みを、デジタル技術で拡張していることである。 たとえば、ダイソーはグローバル5,000以上の店舗で販売する7万点以上のアイテムのPOSデータを集計するためのシステムを自社で開発している。そのため、世界中どの店舗でどの商品が売れているのかが瞬時にわかる。 東南アジアにおけるダイソーは安価な生活雑貨を提供するだけでなく、日本の魅力的な製品を販売する店という側面を持つが、どんな日本のグッズが東南アジアの人に受けるかはなかなか読みづらい。こうした独自システムを持つことで、在庫管理と需要予測を徹底し、大幅な欠品率の改善を実現しているのだ。 その結果として、東南アジアだけでも300店舗以上の店舗を展開するに至っている(※2023年9月末現在)。 ユニクロやドン・キホーテも同様で、商品の魅力もさることながら、グローバルレベルでのシステムを構築していることが競争力の源泉となっている。逆に言えば、いくら魅力的な製品や商品、あるいは食品を扱っていても、デジタル技術を活用していないがためになかなか成功できない企業も多いのが実情だ。