ハードでタフ、そしてスリリング! 秀麗なる富士の展望が待つ十二番山頂「本社ケ丸」を踏破
そのユニーク読み方から、なんとなく愛らしさを感じさせる「本社ケ丸」(ほんじゃがまる)は、秀麗富嶽十二景中でもっともハードな山陵ともいえます。東西の二方向からのアプローチのいずれもがタフであり、それだけに標高1631mの山頂に立った喜びはひとしおかとお思います。遮るものなしの圧巻なる富士山の姿はまさに秀麗です。 【写真】タフでハードな本社ケ丸登山を見る(全11枚)
険しい岩稜の嶮、360度の大パノラマを独占
本社ケ丸はその稜線上にある清八山と富士山の東側にある前衛の三ツ峠山との縦走を楽しむ登山者に人気の山です。その山頂からの富士山の眺望は、鳥的メリットを大いに享受できる圧巻のロケーションが待っています。 山頂南側に霊峰富士。前衛の三ツ峠山は山頂に立つアンテナが目印となります。その西側には南アルプス群が北に広がります。目に飛び込んでくる群嶺は御坂黒岳からの脇から光岳、聖岳、赤石岳、悪沢岳、塩見岳の南アルプス南部3000m級深奥の山々。それに続いて間ノ岳、北岳、甲斐駒ケ岳の北部秀麗が名を連ねます。 さらには八ヶ岳から金峰山、北奥千丈岳、甲武信ヶ岳の奥秩父の主役たちが居並ぶ360度のパノラマを展開。なんとも贅沢な眺望です。その分、癖の多い登山道の下りが待っていますので、最後まで気をぬくことなく慎重な下山を心がけたいですね。
清八山からの縦走か笹子駅裏からの急登ルートに挑むか
大月市側からの本社ケ丸へのルートは3本あります。いずれもJR中央本線・笹子駅を起点としてもっとも西側の追分地区からの笹子西ルートと、笹子駅裏手からのアプローチとなる笹子東ルート。そして大月市の名蔵元の笹一酒造裏手から進む船橋沢ルートの3つです。 笹子西ルートは隣に立つ清八山登山口を兼ねており、清八峠までは共通で峠から東に進みます。清八峠からはそれまで見せることのなかった岩稜の嶮が顔を見せます。アップダウンの小ピークを数回繰り返し、左右の切れ落ちた細尾根の岩場などクセのあるルートです。三点支持の基本を忘れなければ危険はないのですが、慣れていないと足場に頭を悩ますところもあります。 次に最近利用度が赤丸上昇中の笹子東ルートですが、これは正規の呼び方ではないようですね。駅を出て大月市役所笹子出張所の先のT字路右手の林道を線路沿いに進みます。ちなみにこのT字路を左に進んだ先に船橋沢ルート登山口があります。まずは線路沿いに進んだ先の左手に登山口の取り付き部が出てきます。 分け入ってほどなくシビアな急登が始まり、延々と続きます。標高1000m付近の庭洞山で急登は一息つくフラットなトレイルを用意してくれていますが、その先の鉄塔から再びの急登。ついつい弱音か悪態のつくか吐くかの入れ違いを繰り返して稜線に飛び出ます。ストックのありがたみを感じるルートかもしれませんね。左手に角研山山頂標識が出てきます。標高は1377m。そこから本社ケ丸まで約1時間です。 最後に船橋沢ルートですが利用者が少ないのでしょうか。登山道は一部荒れ気味なところがあり、また道迷いの心配も。管理復旧が進んでいるようなので、現状では笹子東ルートの急登アタックの方がわかりやすいかと思います。
ソトラバ編集部