“独裁者”習近平氏との「最低限の合意」が米の目的・成果 米中首脳会談
経済アナリストのジョセフ・クラフトが11月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米サンフランシスコで行われた米中首脳会談について解説した。
1年ぶりの米中首脳会談
飯田)米サンフランシスコで米中首脳会談が行われました。足元の中国経済が悪く、対話を開いたのは「経済が厳しいから」という事情もあったのですか? クラフト)この首脳会談について、国務省の高官に話を聞きました。アメリカ政府の立場としては、独裁国家である中国のリーダーがどういう情報を受けているか、どういう認識であるのか。また、それを理解するためには、あるいはアメリカ側の姿勢を直接理解してもらうためには、「リーダー同士で話さなければわからない」と言っていました。 飯田)リーダー同士で。 クラフト)アメリカの第一目的は「習近平氏が何を考えているのか」を探り、アメリカの姿勢を直接訴えかけることです。今回の会談は、合意内容はあまり重要視せず、「最低限の合意が最大の成果」だということです。 飯田)会談後の会見でも、バイデン氏が最初に出してきたのは薬物に関する話でした。 クラフト)合意事項を見れば、軍事関連の対話や麻薬対策の協力、気候変動、AIの制限など、「この程度は最低限できるでしょう」というものばかりです。その他の重要事項に関しては今後進めるとして、まずは1年ぶりに対面で会い、お互いの見解を示したところに意義があったのです。
まずは安定的な関係を維持する
飯田)お互いの主張のなかには、「台湾に関して武力行使も示唆したのではないか」という報道も出ていましたが。 クラフト)実態はわかりませんが、アメリカとしては「一つの中国」政策を維持すると。中国側も、リップサービスだったのかも知れませんが、「台湾侵攻をするつもりはない」と公では言っています。 飯田)「ここ数年は」というような。 クラフト)アメリカ側としても、いまはウクライナとイスラエルの二正面に直面しているので、台湾までは抱えられない。中国も経済が厳しく、戦争している場合ではない。お互いの懐事情を考えて、とりあえずは安定的な関係を維持するという方針ではないでしょうか。 飯田)会談後の会見で、記者から「(習近平国家主席を)これからも独裁者と呼ぶのか?」と聞かれて、バイデンさんが「独裁者だ」と言ってしまった。あれは意図したものなのでしょうか? クラフト)聞かれることは想定していたと思います。以前にも「独裁者だ」と言っていたので、否定してしまうと「あのときは失言だったのか?」と突っ込まれるため、「イエス」としか言いようがなかったのでしょう。ただ、「イエス」と言っておきながらも、「共産党国家のなかでは独裁者」とよくわからない説明を付け、柔らかく収めようとしていました。多少は準備していたものだと思いますが、私は答える必要はなかったのではないかと思います。 飯田)完全に司会が締めたあとでしたからね。 クラフト)あのまま壇上を降りれば済んだ話です。 飯田)別角度からの映像では、ブリンケン国務長官が「言ってしまった」というような渋い表情をしていました。 クラフト)外交チームは頭を抱えますよね。