老後までに「2,000万円くらい貯まるだろう」と思っていたが…36歳男性が「カツカツな生活」に陥ったワケ
日本のサラリーマン、平均的な給与はどのくらいなのだろうか。国税庁のレポート「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は523万円。非正規社員の平均給与は201万円である。「平均」というものは、ピラミッドの上にいる大きな数字が押し上げるものであるから、実際にはこの額より少ないという人も多いであろう。さらに言えば、税引き後の「手取り額」でいうともっと少なくなるはずだ。懸命に働くサラリーマンのリアルを見ていこう。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
大卒の初任給、平均は約23万7,300円
国税庁のレポート「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は523万円になる。ざっくりと計算すると、手取り額は年収で約407万円、ボーナスなしで考えると月収で約34万円ほどだ。 厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」によれば、新卒の初任給の平均は大卒で23万7,300円。手取りでは19万円ほど。手取りにして、サラリーマンは平均して初任給の2倍弱手にしていることとなるが、そこまで昇給できる恵まれた人が、どれほどいるかは疑問である。 上を見てもキリがないし、下を見てもキリがないのが「お金の世界」ではあるが、「平均」に達するまでも競争は厳しい。「平均くらいでいいや」という心の平穏(あるいは諦念)を手に入れるまでのハードルは、思いのほか高いようだ。
「身の丈にあった生活」とはいうが…
「通勤に無理のない程度に住居費のかからない地域に暮らし、節制して“身の丈にあった生活”をして、老後のためにコツコツと計画的に貯金をしようと思っていましたが、給料が上がらずカツカツです」 そう語ってくれたのは千葉市在住、メーカー勤務28歳の葛西さん(仮名)だ。 「食費や電気代などを節約するため、家事を頑張り丁寧な生活を心がけているのですが、そのために仕事のほうは必要最低限で行なっているためか、昇進・昇給がほとんどない状態です。努力に見合うほど貯金できていません。 同僚で仕事を頑張り、良い給料をもらっている人もいますが、職住近接で東京に住んでおり、付き合うも多くなるためか、貯金額でいえば私とさほど変わらないようでした。どちらも“自分なりに頑張っているのにね”という話になりました」 頑張る方向性をどちらに向けたところで、“資産は増えない”という悲しい実態があるようだ。