Petit Brabancon、LINE CUBE SHIBUYAライヴ直前。yukihiro&京が語るバンドの変わらぬ姿勢
先日配信されたPetit Brabanconの新曲「a humble border」を聴いて、年明けのライヴが待ち遠しくなってる人もいるだろう。インダストリアルをキーワードにyukihiro(ドラム/L’Arc~en~Ciel、ACID ANDROID)が手がけた今作には、エクストリームミュージックへ傾倒するPetit Brabanconのあくなき姿勢が見てとれる。粗暴さと繊細さを混ぜっ返したサウンドとメロディは、バンドマンとしての本能と理性を行き来する5人のぶつかりあいを想起させるもので、彼らの関係性がより深まりつつあることを意味する。
そんなバンドの現在進行形を目にすることができる年明けのライヴを控えたタイミングで、yukihiroと京(ヴォーカル/DIR EN GREY、sukekiyo)によるインタビューを行った。2024年1月2日と3日、2日間にわたって開催されるLINE CUBE SHIBUYAでのライヴ〈Petit Brabancon EXPLODE -02- Gushing Blood〉と〈Petit Brabancon EXPLODE -02- Neglected Human〉では、両日ともに未発表曲を含めた来場者限定CDも配布という新たな試みも。バンドのイメージやスケールに囚われず、攻めの姿勢をとり続ける猛犬の快進撃は続くのだ。
いつも何かしら次が見えるようなものが形になってほしいとは思っている
ーーこの2人の組み合わせで取材するのは初めてなんですが。 京「そうでしたっけ?」 ーーそもそもyukihiroさんと京くんがどんな会話をしてるのか想像つかなくて。 京「普通に映画の話とかしてますよ。あとプラモデルの話とか(笑)」 ーー(笑)先日リリースされた新曲ですが、曲自体はいつ頃作ったものなんですか? yukihiro「前回のツアーが終わってそのあとスタジオに入ったんですけど、その時ですね」 ーーその時点で曲のイメージはあったんでしょうか。 yukihiro「そのレコーディングの時に〈インダストリアル〉っていうワードが出てきたんで、そういう曲を作ろうと思いました」 ーーどんな経緯で〈インダストリアル〉というワードが出てきたんですか? yukihiro「もともと僕が好きで聴いてる音楽ではあるんだけど、ちょうどそのレコーディングの時に、ミニストリーのSNSでミニストリーがプロデュースしたエフェクターがアップされてたんですよ。あの頭蓋骨のジャケットが描いてあるコンパクトエフェクターなんですけど」 ーーそれはマニア心をくすぐりますね。 yukihiro「もともと買うつもりではあって、でもちょっと迷ってて。それをミヤくん(ギター/MUCC)に教えたら、その場で『あ、買います』って」 ーーミヤくんらしい(笑)。 yukihiro「それで〈僕も買わないとな〉と思って。そうしたらantz(ギター/Tokyo Shoegazer)も買うって言い出して」 ーーあははは。 yukihiro「で、その時に〈インダストリアル〉っていうワードが出てきて、じゃあそういう曲を作ってみようかなと思ったんです」 ーーバンドっぽいエピソードです(笑)。ちなみにこのバンドでインダストリアルをテーマに曲を作ったのは初めてですか? yukihiro「初めてじゃないけど、僕がギターリフから曲を作ったのは、Petit Brabanconでは初めてですね。でも僕は6弦ギターしか持ってないので、最初は6弦の音域でのギターリフだったんですよ。それをミヤくんが7弦にキーを下げてくれて」 ーーバンド始動の時から〈エクストリーム〉という言葉を標榜してたじゃないですか。これまでもそのワードに沿った曲があったけど、これこそプチブラ独自のエクストリームだと思って。京くんはこの曲を初めて聴いた時、どんなことを思いました? 京「これを聴いてすぐ歌のイメージが湧いたんですよ。そこから何回かyukihiroさんとやりとりしてメロディを変えたりしたけど、大枠のイメージはすぐ出てきましたね」 ーーDIR EN GREYやsukekiyoではこういうタイプの曲がないじゃないですか。 京「ないですね」 ーーなのでどうアプローチすればいいか悩むことは? 京「いや、全然。僕もミニストリーは通ってるし、yukihiroさんがイメージしてるものはなんとなくわかってたんで。そこをどう崩しつつ、でも崩し過ぎないバランスを探りながら作った感じです」 ーー2人の間ではどんなやりとりがあったんでしょうか。 京「乗せた歌がyukihiroさんのイメージからズレてないか聴いてもらって〈こういう雰囲気も試してほしい〉みたいなのを受け取って、〈なるほど〉って思って録り直したり。そういうのを何回か繰り返した感じですね」 ーーそういうやりとりっていつもやってるバンドではあんまりないですよね? 京「一切ないですね。でもそこが面白くて。新鮮だし勉強になるし、これはどんどん取り入れていこう、みたいな。どうしてもここのメロディだけは使いたいってところは言いますけど、なるべく意見を取り入れてますね」 ーーyukihiroさんから曲を京くんに渡す時、歌のイメージも一緒に伝えるんですか? yukihiro「そこはお任せです。京くんのインスピレーションで歌を入れてもらって、それを聴いてから〈こういうのはどう?〉みたいなやりとりをしました」 ーーどんな歌が乗るのか不安ではないですか? yukihiro「もともとバンド始めた頃って、ヴォーカリストがメロディつけるっていうのは普通だったんで、僕の中ではわりと自然な感じがします」 ーーすごくオリジナリティが高いというか、バンドの個性がはっきり出てる曲だと思いました。 京「それは嬉しいですね」 ーーさらに言うと、今後の活動を占う1曲でもある気がします。どうですかね? yukihiro「でもこの曲に限らず、いつも新しい曲を作ってる時は何かしら次が見えるようなものが形になってほしいとは思っていて、それを実践してる感じです」 ーーライヴにおいてもすごく重要な位置に置かれる曲なんじゃないかと。 京「それって……渋公の曲順の話ですか?」 ーーや、それを知りたいわけじゃなくて(笑)。ライヴの中で大事な曲になりそうだと思ったんですよ。 京「もちろん大事ですよ。でも、あえてサラッと聴かせたいかな」 ーーサラッと? 京「ラストとかじゃなくて、あえて〈え、そこに持ってくる?〉みたいな位置にズラすというか。あと、これからもどんどん新曲ができる予定なんで、僕としてはそっちがもう楽しみで仕方なくて。その中でこれが一発目の曲って感じですね」