台湾周辺での軍事演習は「挑発行為」-米政府が中国に自制求める
(ブルームバーグ): 台湾の頼清徳新総統が20日に就任した後、中国が台湾周辺で広範囲な軍事演習を実施したことについて、米国務省は「軍事的な挑発行為」だと非難した。
台湾国防部(国防省)は台湾周辺で延べ111機の中国軍用機と数十隻の艦艇が2日間に確認されたことを明らかにした。
国務省のミラー報道官は25日、米国は「深く懸念している」との声明を発表。「われわれは中国に対し、自制するよう強く求める」とした上で、「通常かつ定められた通りの民主的な政権移行を軍事的挑発の口実に使うことは、緊張を高めるリスクがあり、何十年もの間、台湾海峡の平和と安定を維持してきた長年の規範を損ねる」と指摘した。
中国国営中央テレビ(CCTV)の軍事ニュースチャンネルは25日、中国人民解放軍が台湾に対する「全ての任務を成功裏に完了」したと伝えた。
中国人民解放軍国防大学のチャン・チー副教授はCCTVのインタビューで、今回の演習で常態化された慣行の新時代に入ったと指摘。「中国人民解放軍は、台湾の分離主義者が挑発的な行動をとるたびに一歩ずつ前進していくだろう」と述べた。
米国防総省は「インド太平洋地域における米軍の現在の態勢とオペレーションに引き続き自信を持っている」とし、中国の演習について「われわれの懸念を伝えた」と説明した。
中国政府は台湾の新政権に不快感を示し、頼氏が台湾独立を求め地域を不安定化させていると主張した。中国軍による今回の台湾周辺での軍事演習は過去1年間で最大規模だった。
中国の国営新華社通信は軍報道官を引用し、軍事演習は「『台湾独立』勢力の分離主義的行為に対する強い懲罰」を意図したものだと報じた。
台湾総統府の郭雅慧報道官は25日の声明で、「中国の最近の一方的な軍事的挑発は、台湾海峡の平和と安定の現状を損なうだけでなく国際秩序に対する公然とした挑発であり、国際社会の深刻な懸念と非難を呼び起こしている」と表明。中国に対し「台湾とともにグローバルな責任を負い、台湾海峡と地域の平和と安定の維持に努める」よう求めるとした。