倒木をオブジェに 制作が本格始動 南房総のヤマナハウス(千葉県)
南房総市山名の交流施設「ヤマナハウス」の裏山で、台風で倒れた樹木をアート作品にしてよみがえらせる取り組みが本格的に始まった。 施設の活動が来年で10周年になるのを記念したプレ事業の一つ。施設の代表、永森昌志さん(47)の友人である、イタリア人のクリスティアン・ボッフェッリさん(52)と妻の宮山香里さん(49)のアーティストユニット「BLANCO」を中心に、施設の会員らが参加。施設の母屋から東に5分ほど登った裏山の森にある樹高10メートルほどのカクレミノの木を、オブジェにする。 この秋の作業では、横倒し状態のカクレミノの木を、他の木材を杭にして支え、ひもで縛って固定する段階まで仕上げた。杭の木材は長年、ヤマナハウスの床下に放置されていたものを活用。会員らが手分けして赤、青、黄の塗料で3色に塗り、裏山に運び上げた。杭を地面に打ち込む作業では、土が固まっていたり、他の木の根が張っていたりと簡単には進まず、会員らが苦心する場面もあった。 オブジェにするカクレミノの木は、2019(令和元)年の台風による強風で根ごと倒れたが、地面に接した幹の部分から新たな根を生やし、葉を茂らせている。この生命力にBLANCOの2人が感銘を受け、アート作品にすることを決めた経緯がある。 今回の作業を終え、ボッフェッリさんは「自然の中にこうした作品をつくるのは初めて。イメージどおりに作業が進むか心配したが、多くの人が参加して形にでき、とてもよかった」と話していたという。 次は来年2月、他の朽ちた樹木や石などの素材を配置して、オブジェとして仕上げる予定。すでに木の実や鳥の巣なども素材にするアイデアがあるといい、ボッフェッリさんは「皆さんの意見を大事にして、状況に応じてしつらえ方を決めていこうと思っている」としている。 (斎藤大宙)