今からチェックしても絶対に損しない!厳選「春ドラマ」ベスト5
4月にスタートしたドラマは36本ある。放送開始から約2カ月近くが過ぎたことから、独自に途中採点してみたい。今からでも見ておきたいベスト5を決める。 【写真】『燕は戻らない』主演の石橋静河。昨年4月、東急歌舞伎町タワーの開業前日セレモニーに鮮やかな水色のドレスを着て登場した まずは5位から。 【TBS『アンチヒーロー』(日曜午後9時)】 元検事の凄腕弁護士・明墨正樹(長谷川博己)は裁判に勝つためには違法ギリギリの手も使う。その目的は明墨が検事時代に担当した無実の死刑囚・志水裕策(緒形直人)を救おうとしていることだった。 志水が死刑判決を受けたのは12年前の一家殺人事件。背後には警察、検察、裁判官、政界の一致した黒い思惑があるらしい。一見、「正義」と思われている「悪」を暴いていく過程が痛快だ。 検察側のワルの親玉は東京地検のナンバーワン・伊達原泰輔検事正(野村萬斎)。長谷川と野村の演技のやり取りが面白い。ともにオーバーで、まるで歌舞伎のよう。2人の顔の演技と間の取り方だけでも観る価値がある。 一点気になるのは裁判官のワル・東京高裁の瀬古成美(神野三鈴)が、最高裁判事になりたくて伊達原や政界と癒着しているという部分。検事と裁判官の距離が近いのは事実だし、14人の最高裁判事を内閣が任命するというのもドラマの通りだが、その候補は最高裁長官が決めることになっている。ドラマはフィクションとはいえ、瀬古が最高裁判事になるために政界の有力者に接近しているというのは現実とかけ離れている。誤解を招きかねない表現ではないか。 続いて第4位。
【NHK『燕は戻ってこない』(火曜午後9時)】 日本のドラマはガラパゴス化していて、国内でしか通用しない作品が大半。海外への輸出は極端に少ない。理由の1つは現代劇にもかかわらず、あまりにも現実味がないからだ。 日本のドラマのほとんどは20代前半の普通のOLが豪華マンションに住み、値が張りそうな洋服を着て、毎晩のようにお洒落な店で酒を飲む。そんなことは世界的にあるはずがない。 このドラマは違う。主人公・大石理紀(石橋静河)は北海道北見市から憧れの東京に出て来たものの、派遣スタッフとして給与は月に手取り14万円。築古のアパートに住み、電気代節約のため、照明は電気スタンドのみ。たまの贅沢はコンビニでカップ麺を食べることくらい。29歳、女性派遣スタッフの生活が悲しいくらいリアルに描かれている。 理紀は貧しさから脱するため、元一流バレエダンサーの草桶基(稲垣吾郎)、イラストレーター・悠子(内田有紀)夫妻の子供を代理出産することを決意する。悠子は不妊症だった。 理紀への報酬は1000万円。基は理紀への人工授精を合法にするため、悠子と離婚し、理紀と入籍した。3人の関係、出産はどうなるのか。 登場人物の誰にも感情移入しにくい。金のことばかり考えている理紀、悠子の気持ちを酌み取ろうとしない基、理紀に代理出産を依頼しながら、「止めたほうがいい」と翻意を促す悠子。だから現実味がある。実際の人間だって良い部分と悪い部分がある。欧米のドラマには絵に描いたような善人や悪党は登場しない。 理紀は現時点では生まれてくる子供への関心を示していない。生まれたら、どうなるのか。ワーキングプアと命は誰のものかを問う。重いテーマだが観る者を引き付ける力がある。派手さはないが、NHKらしいドラマとも言える。 そして第3位。