驚異の奪三振率13.94!埼玉に現れたドクターK・富士大和はオリックス・田嶋大樹を彷彿とさせる逸材!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>
今年の埼玉を代表する左腕が大宮東の冨士 大和投手だ。 184センチ78キロと恵まれた体格から投げ込む直球の最速は140キロ。突出した球速ではないが、次々と三振を奪う。 【動画】最速140キロでも奪三振率12.26 大宮東・冨士大和の出所の見づらい独特フォームの秘密 昨年の春季大会では、43.1回を投げ、57奪三振、夏の大会では14.1回を投げて、15奪三振、秋の県大会では埼玉平成戦では13奪三振完封、聖望学園戦では9.2回を投げ、19奪三振を記録。1年間の県大会で、67.1回を投げ、104奪三振。奪三振率13.94とドクターKに相応しい成績を残している。 兄の冨士 隼斗投手(日本通運)は平成国際大時代、最速155キロ右腕として注目された存在だ。 三振を奪う要因となっているのは出どころが見にくい投球フォーム。肩、肘の柔軟性があり、左腕を外旋させながら、サイド気味に投げる。体の近くで、コンパクトに腕を振る投手が多い中、かなり特異なフォームをしている。プロ野球だとオリックス・田嶋 大樹投手(佐野日大)に近い。 実際にネット裏から見ても球筋が全く見えない。11月、埼玉県の南部選抜に選ばれ、北部選抜の試合で先発した冨士は3回5奪三振の快投を魅せた。北部選抜の4番でスタメン出場した中村 謙吾投手(熊谷商)は冨士の球筋の印象について次のように語る。 「いろんな投手と対戦していますけど、一番球筋が見えない投手でした。変化球も良いので、打てない投手ですね」 冨士の良さはストライク先行ができて、投球のテンポも非常に速いこと。優位に投球ができるため、あっという間に三振を奪っていく。直球だけではなく、スライダー、チェンジアップの精度も高い。 冨士の特徴である変則フォームが生まれたのは自然の成り行きだったという。 「リリースの角度は中学2年生の時から無意識に落ちてきて、それを直さず、投げやすい位置を見つけたら、今の状態に至りました。下半身の連動性については兄からたくさんのことを教わって、調整してきました。中学の先生は自分の特性を理解してくれて、フォームを直さず、それ以外の投手として大事なことを教えてくれたので、感謝しています」 腕を外旋させる投手にありがちなのが、内旋する投手と比べて、体から遠い位置で投げるため、リリースポイントが安定せず、制球力を課題に抱える投手が多い。 冨士の場合、ストライク先行ができて、リズムも良い。自分にとって投げやすい自然なフォームによって、制球力の良い変則派となった。 冨士の目標は高卒プロを実現できる実績を残すこと。その思いを強くしたのは兄・隼斗投手の存在だ。 「自分にとって目標であり、憧れ。いつか超えてみたい存在です。その兄はプロから指名されなかった。改めてプロへの道は厳しい世界だと痛感しています。それでも目標はプロ野球選手なので、それを実現できるように頑張っていきます」 冨士の投球スタイルは他の投手にはない強みがある。左スリークォーター気味のフォームも平均的な投手から逸脱している。 怪我なく、今の投球スタイルのまま、球速、球威をベースアップして、圧倒的なパフォーマンスを残せば、高校生最上位左腕の評価を得られる可能性を持っている。 <冨士大和 (ふじやまと)> 左投げ左打ち さいたま市立三橋中出身 埼玉の中学軟式野球の選抜「埼玉西武ライオンズジュニアユース」第二期メンバーに選出される 大宮東入学後、公式戦では2年春からエースとして活躍 2年春 43.1回を投げ、57奪三振 2年夏 14.1回を投げて、15奪三振 2年秋 19奪三振 兄・冨士隼斗投手は最速155キロ右腕として平成国際大時代は大学日本代表候補に。現在は日本通運でプレー