『右上腕動脈閉塞症』から三軍戦で復帰登板の西武・森脇亮介 プロ投手の本能に気付き、予想以上の収穫も手に
マウンドで勝手に入ったスイッチ
復帰戦を前に、森脇は「この感情、なんて言ったらいんですかねー」と、今の気持ちにピタリとハマりそうな言葉を頭の中で探しながら、こう表現していた。 「“怖い”とまでは言わないですけど、“不安”が大きいですかね。もちろん、“ワクワク”もあります。でも、僕の中で、手術する前までの力感とか感覚とかが全部が戻っているわけではないので、『準備が全部整って、よし行くぞ!」と出陣していくというよりは、戦いの中に“飛び込んでいく”という感じですかね。ちょっと急ぎで身支度をして、『とりあえず行かなきゃ』みたいなイメージ(笑)。とにかく、まずは1イニングをしっかりと投げ切りたいですね」 そして実際、9回にマウンドに上がり、打者3人を相手に11球、1奪三振、最速139キロと、きっちりと1イニングを投げ切った。 試合後、森脇の表情はとても晴れやかだった。 「楽しかったです」 そう、感慨深げにうなずくと、率直な想いを続けた。 「(肩を)作り始めるまではかなり不安もありました。まず『ストライク入るかな?』と。ピッチング練習では入っても、試合でどうかなという不安と、『体が大丈夫かな?』という不安と、『抑えられるかな?』とか、本当にたくさんの種類の不安が入り混じっていました。でも、それと同じぐらいに、『やっとここまで来たな』『ここまで来られたんだな』という手応えもあったりで、とにかくいろいろな想いが、マウンドに行くときにはありましたね」 だが、“舞台”に立つと、やはり勝手にスイッチが入った。これまで手術後、初めて3月29日に打撃投手として対打者への投球を開始。その後、5月に入り、2度のライブBPを経て調整を進めてきたが、いずれも決まった時間に合わせ、自分の間合い、流れで肩を作れたが、試合となればそうはいかない。 「(肩を)作り始めてからも、相手が三者凡退で終わるとか、バッターが1人出塁するとか、そういう中で状況を見ながら作っていくのが本当に久しぶりだったので、あらためて『試合だな~』と実感できてよかったです!」