真凜と新葉。平昌五輪代表争い明暗のなぜ?
一方、2位に入った樋口に関しては、中庭氏は、「非のうちどころのない過去最高の演技。シニア2季目で驚くほど成長しました。彼女の武器であるパワフルなスピードに加えて安定感が出てきました」と評価した。 「樋口選手のようなスピード感を持った演技のできる選手は世界でも他にいません。スピードをマックスに出すことで演技全体にメリハリのようなものが生まれています。ジャンプは正確で幅のあるもので、技のキレも素晴らしいものでした」 樋口は、試合後、「まだ小さなミスがある。もっと伸ばせる」と課題を口にした。 中庭氏は、「ステップシークエンスがレベル3になるなど、確かに小さなミスがあり、そこは今後の伸びシロになります。またFSのプログラムの冒頭がダブルアクセルになっていますが、プログラムの尺を考えると、ここをトリプルアクセルにすることも想定していると思います。おそらく五輪出場が決まれば、本番では、そこで勝負してくるのかもしれません。そういう部分も含めて、さらに成長が期待できます」という。 シニアのGPシリーズのデビュー戦で優勝したザギトワとは、わずかに1.36点差。だが、これは、ザギトワが、FSで7つのジャンプをすべて1.1倍となる後半につめこむプログラムを組んできたためで、基礎点の段階ですでに1.5差があった。 「ザギトワとは、ベースバリューの段階での差があっただけで、大きな実力差があったわけではありません。まだGPファイナル出場が決まったわけではありませんが、出場の可能性は高いでしょう。もし出場が叶うならば、樋口選手には、たっぷりと調整の時間があり、しかもホーム(名古屋)で行われる大会のため、時差もなくアドバンテージはかなりあります。またフリーで巻き返した三原選手も、まだGPを1試合残しており優勝が条件ですが、出場の可能性はあります。今回も足元の技術は素晴らしく、ジャンプに入る前の創意工夫が評価されました。彼女も、持ち味を出せた演技だったと言ってもいいでしょう」 ロシア杯で2位に入ったカロリーナ・コストナー(イタリア)が10日からのNHK杯で3位以下の成績に終われば、樋口のGPファイナル出場の可能性が、ほぼ確実となり五輪代表枠に大きく近づくことになる。 そのNHK杯には、故障で苦しんでいた宮原知子(19、木下グループ)がぶっつけ本番で復帰予定。2枠の五輪代表を巡る戦いは、ますまず激しさを増すことになる。