王位戦第1局の会場、徳川園で検分を行う藤井聡太王位（右）と渡辺明九段

　将棋の藤井聡太王位（21）＝王将など7冠＝が挑戦者に渡辺明九段（40）を迎える第65期王位戦第1局がきょう6日、名古屋市の徳川園で開幕するのを前に5日、同市内の栄・オアシス21、徳川美術館を訪問した。その後、対局場で検分を済ませた後、記者会見に臨み、午前と午後のおやつをとる場所で両者の対応が分かれた。 　将棋のタイトル戦ではコロナ禍以降、感染拡大防止のためマスクを外す時間が少なくて済むようにと、おやつは自室でとるように変更した。感染症法上の5類に移行されて1年余り。昨年6月に決着した名人戦以来のタイトル戦出場となった渡辺は、おやつを対局室でとれるように要望。対してコロナ対応が始まった20年6月以降、タイトル戦に出場する藤井は「従来通り、控え室で」と自室を選択した。 　「コロナ対応が終わっているなら元に戻してほしい。（コロナ禍）以前からやってた身からすると不便」 　2日制対局では、正午からの昼食以外に午前10時と午後3時におやつが提供される。自室に用意されると、特に2日目午後のエネルギー補給が終盤の勝負所へ差し掛かる可能性があり、対局場を離れる時間的ロスが生じかねない。 　一方、藤井も対局場から自室への移動時間を理解しつつも、「席を立つことによる効果はある」。自室へ戻ることで身を置く空間が変わり気分転換できると判断した。 　藤井は連続5期による永世王位の資格獲得、渡辺は初の王位がかかるシリーズ。藤井は今月1日の棋聖戦第3局で初の永世称号を手中にしたばかりだが、早くも2つ目に挑戦する。 　両者の対戦は昨年6月、藤井が4勝1敗で奪取した名人戦以来1年1カ月ぶり。対戦成績は藤井の20勝4敗。過去5度対戦したシリーズは藤井の5戦全勝となっている。 　2日制対局の1日目は6日午前9時、振り駒を経て先後が決まり、対局開始となる。