自民苦戦も与党で過半数確保か、立民に勢い-衆院選で報道各社調査
(ブルームバーグ): 衆院選(27日投開票)は、自民党が苦戦しているものの、公明党と合わせた与党では衆院定数465の過半数(233議席)を確保する可能性がある。報道各社が15、16両日にそれぞれ行った世論調査を基に序盤情勢を報じた。
毎日新聞、読売新聞はそれぞれ与党は過半数を確保する見通しと報じた。共同通信は「過半数を巡り、与野党の攻防が続いている」と指摘。一方、日本経済新聞は自民単独では過半数に届かない可能性があるとした。いずれも「政治とカネ」の問題で批判を受けている自民が苦戦し、立憲民主党は議席を伸ばす勢いという。
石破茂首相は与党で過半数を衆院選の勝敗ラインに掲げている。確保できれば政権は維持されるが、自民の大幅減となれば首相の求心力は低下する。来年は参院選や東京都議選など重要選挙を控えており、綱渡りの政権運営を強いられる可能性がある。
元自民党職員で政治評論家の田村重信氏は「与党で過半数を取れるかどうかが石破内閣の大きな試金石だ」との見方を示した。自民党が議席を減らし、単独で過半数に届かない場合でも、与党での目標をクリアできれば石破内閣は継続すると分析。首相が政権基盤を固められるかどうかは自民党の獲得議席次第とも指摘した。
波乱要因
石破首相は政治資金収支報告書に不記載があった前職らの一部を非公認や、比例代表との重複立候補不可とする原則を掲げて選挙に臨んだ。対象者の多くは首相と距離のあった故安倍晋三元首相が率いていた旧安倍派で、衆院選の結果次第で今回の決断が政局の波乱要因となる可能性がある。
9月の総裁選で石破首相と決選投票を争った高市早苗元政調会長は公示翌日の16日、旧安倍派で非公認や重複不可となった前職の選挙区に入り、支持を訴えた。小林鷹之元経済安全保障担当相らも全国遊説を積極的に行っており、将来の「ポスト石破」を見据えた動きも始まっている。
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Takashi Hirokawa