握手会自粛ムードで芸能界全体を取り巻く危機
アイドルグループ「AKB48」の川栄李奈と入山杏奈、スタッフの男性が切りつけられた事件で、さまざまな余波が広がっている。事件を受けて「AKB48」は今月いっぱい東京・秋葉原のAKB48劇場で予定されていた握手会イベントを延期するなどの対応を実施。姉妹グループの「SKE48」、「NMB48」、「HKT48」では、劇場公演後に行われるメンバーによるハイタッチ会を中止している。26日の「NMB48」による大阪・難波のNMB48劇場での公演では、観客の入場時に手持ち式の金属探知機でボディーチェックを行ったり、警備員を増員し、客席の最前列は空席とするなど警備面の強化に努めている。 ■サイン会、CDの即売会などでも握手は日常的 今回の事件を受けて、一部からは握手会に対して厳しい目が向けられているが、その影響は芸能界全体に広がりつつあり、業界内からは戸惑いの声も噴出している。芸能プロダクションのマネジャーは語る。 「『AKB48』で有名になった握手会ですが、“握手会”という呼び方こそしていなかったものの、歌手がイベント会場、レコード店などでの即売会でレコードやカセットテープを手売りする時、ファンと握手するのは昭和の時代から日常的に行われてきました。アイドルやタレントのサイン会などでも、握手とサインはセットのような感覚でしたしね。最近では芸能人に限らず、作家やプロスポーツ選手なども著書や写真集の発売記念イベントなどでは集まったファンにサイン本を手渡す際、握手するケースも増えています。今回の事件で過剰に自粛ムードが広がれば、握手会だけでなく、サイン会やCDの即売会などもやり辛くなってしまいますからね」 ■警備員がいる方が珍しい “サイン会”、“○○記念イベント”、“ファンミーティング”など呼び方はさまざまだが、芸能人や著名人がファンと直接コミュニケーションをとり、握手を交わすという点では、実質的に“握手会”と内容はそれほど変わらない。そうした中、今回の事件では、ファンとの交流イベントの場における警備体制の問題も浮上しているが、タレント本などを手掛ける出版社の編集者はこう明かす。 「それなりに注意は払っていますが、限られた数のスタッフで集まったファン一人ひとりの手荷物を徹底的に検査し、完璧なボディーチェックをすることは難しいのが実情です。普段、書店さんなどで行っているタレント本絡みの握手会やサイン会では、数百人が集まるイベントでも、所属事務所のマネジャーやスタッフ、出版社の編集者、書店の店員など実質7~8人で対応することもしばしば。その場に警備員がいる方が珍しいですね。もちろん、今後は警備体制の強化を図ることになるとは思いますが…」 前日の事件の余波が広がる中、26日にイベントに出席した俳優・石田純一は今回の事件について「(ファンとの)信頼関係の上で成り立っているのに、そういうのを崩されるのは残念ですね」とコメントしたが、握手会に限らず、ほとんどの芸能人によるファンとの交流イベントは“信頼関係”があって初めて成立しているのが実情のようだ。