ラグビーW杯開催前に異例の協会トップ交代の影響とその背景は?
ラグビーのワールドカップ日本大会を約4か月後に控えた段階で、日本ラグビー協会のトップの退任ニュースが続き波紋を広げている。4月に森喜朗名誉会長が辞意を表明。続いて岡村正会長が退任の意思を固めたと報じられた。次期会長候補として森重隆副会長の名前が挙がっているが、本番直前のトップ交代の背景には何があったのか。また、この異常事態はワールドカップ及び日本ラグビー界の今後にどんな影響を及ぼすのだろうか。 日本ラグビーを発展させるのが役割の日本ラグビー協会は6月、2年に1度の役員改選を迎える。9月のワールドカップを控え、当初、岡村会長体制が継続されそうではあった。 雲行きが変わったのは4月17日。定例の理事会に首相経験のある森喜朗名誉会長がアポなしで参加。議論が大詰めを迎えると、口を開いた。出席者によれば、内容はワールドカップ前の盛り上がりの薄さへの叱咤、自らの名誉会長の辞意だった。加えて、岡村会長もポストを退くよう促されたとみられる。 その場にいた副会長の1人は、森氏の発言は「組織の若返り」を求めるものだったと説明する。 「JOC(日本オリンピック委員会)の話を出していた。竹田(恒和)会長も(オリンピック東京大会を翌年に控えながら、今年6月に)辞める。自分もワールドカップ前だからといって名誉会長を続ける意味はない、と。(役員改選に携わる)選考委員も若い人にしないと変わらないよ、とも」 会長としてワールドカップ招致に尽力した森氏の一声は、この組織に絶大な影響を及ぼす。ある幹部は、「正直なところ、森さんが何か仰ってそこはダメですとは言えない。察してください」と記者団に説明していた。 ワールドカップ直前の体制刷新は、対外的には、なんらかの不安や悪影響があることを印象づけるのかもしれない。しかし、この動きには、プラスとマイナスの両面がある。6月に誕生する新会長、理事の人選と、その実行力次第では、かねてから日本ラグビー協会内で燻っていたガバナンスと「大会後の道筋が不明瞭」という問題点を解消できるかもしれない。