300ヘクタールの農地守り耕す JAレーク滋賀、子会社統合で狙う効率化
JAレーク滋賀は今年4月、子会社の農業法人4社を統合し、新会社「アグリサポート高島」を立ち上げる。高齢化などで農家が管理できなくなった農地を引き受け、水田農業を展開する。新会社が管理する農地は300ヘクタールに迫り、一般農家も含めて県内最大級の経営規模の農業法人になる。担い手不足が深刻化する中、地域農業の守り手としてJAが存在感を増している。 JAは2021年4月、県内8JAが合併して誕生した。県内全16JAのうち半分が合併に参加した。管内の人口は県全体の半分を占め、組合員数・経営規模ともに県内最大規模を誇る。 今回統合するのは、管内の高島市内にあるJA子会社の農業法人4社だ。市内には元々、マキノ町、今津町、新旭町、西びわこの四つのJAがあったが、全て合併に参加した。これら4JAがそれぞれ運営していた農業法人を統合する。 新会社の社長に就く、旧JA今津町子会社の農業法人の大森重俊社長は「人や農機をうまく融通し合い、経営の効率化を進め、地域の農業振興や農地保全につなげていきたい。新たな雇用を生み出し、次世代を担う人づくりにも取り組みたい」と力を込める。 新会社が管理する農地は288ヘクタールとなる見通し。市内の全農地の6%に当たる。高齢化などで農家が管理できなくなった農地が中心だ。山間部などの条件不利農地も多く、平均すると農地の大きさは1筆15アールほどという。 24年度は主食用米164ヘクタール、飼料用米43ヘクタール、大豆40ヘクタール、麦31ヘクタール、ソバ30ヘクタールなどを手がける。作付面積は合わせて315ヘクタール。他にも、田植えや稲刈りなど、農作業の受託面積が107ヘクタールに上る。 新会社では経営の効率化を目指す。例えば、同じ市内でも地域ごとに農作業の時期にずれがあるので、人員配置を工夫してより少人数で作業をこなせるようにする。無線操作できる除草機など、スマート農業の導入にも動いている。 昨年10月には、統合に向けた予備調印式が大津市内で開かれた。 JA経営管理委員会の佐野宗二会長は「私たち農業関係者は、今日までの苦労を決して無駄にすることなく、常に先を見据え、新たな挑戦をしていかなければならない」と決意を述べた。 新会社の役職員数は18人。この他、農繁期はアルバイトなど36人が加わる。
日本農業新聞