【山口県】[OPEN]周南医療圏初の在宅医療専門診療所 周南ホームケアクリニック
周南ホームケアクリニック(山形恭康院長)が周南医療圏で初めての在宅医療に特化した診療所として昨年11月に山口県光市島田に開院した。 病気や障害によって通院困難な人や自宅で最期まで過ごしたいと願う人のための訪問診療、訪問看護に取り組む。光市、下松市、周南市、田布施町、平生町を対象に患者の自宅や施設を訪れる。 診療の質を保つために、訪問は多くても1日に10件ほど。1人当たり月に2回の訪問が多い。診療時間は平日の日中だが、山形院長のほかに複数の非常勤医師の協力のもと、夜間・休日も24時間365日の緊急対応体制で、かかりつけ患者の相談や往診の依頼に応じている。患者のほとんどが最期を自宅で迎えており、開院後4カ月で18人を在宅で看取ったという。 患者は病院の地域連携室、ケアマネジャー、訪問看護ステーションなどからの紹介が多い。在宅医療に関する制度の整備や医療機器の小型化によって、自宅でも病院と遜色ない医療を受けられるようになった。超高齢社会を迎えた日本では、国策として在宅医療の推進が叫ばれ、都市部では在宅医療を専業とする医療機関も増えているという。 山形院長は下松市出身。徳山高から鳥取大医学部に進み、卒業後は徳山中央病院、広島市民病院で研修後、広島市の有床診療所で在宅医療を中心に経験を積み、山口県で5人目となる日本在宅医療連合学会認定専門医を取得した。 在宅医療の現場は患者の自宅であり、病だけでなく本人や家族の価値観を尊重し1人ひとりにとっての「最善」を目指した医療が求められる。山形院長は「患者が100人いれば100通りの療養があり、生活の場におけるオーダーメイドの医療は難しさでもあり、醍醐味でもある」と語る。 病院や薬局、介護支援事業所など地域の多職種との連携は欠かせない。このため情報共有などにITツールも積極的に活用している。「より多くの住民、医療介護関係者に在宅医療という選択肢があることを知ってもらい、地域の在宅医療を盛り上げていきたい」と将来を展望している。 厚生労働省の調査によると人生の最期を迎えたい場所として自宅を望む人が約8割という結果が出ているが、希望を実現できた人は2割に満たず、そのほとんどが病院で亡くなっている。 患者・家族の「納得できる最期」へ「病気や障害を抱えても最期までその人の価値観や多様性を尊重し、自分らしさや最善を追求していく」。そんな在宅医療が周南圏域でも始まっている。 [周南ホームケアクリニック] 光市島田2-23-8 原田ビル1階 TEL.0833-48-8878 診療時間:午前8時半~午後5時半 休診日:土曜、日曜