プロフィルになるような作品を作れたら「こころのふた~雪ふるまちで~」河村光庸の熱い思いを引き継ぎたい
映画「こころのふた~雪ふるまちで~」は、若手の発掘、育成と地方創生を目的とした「私の卒業プロジェクト」の第5期の作品。将来に希望と不安を抱えながら高校を卒業していく若者たちの心の機微に触れながら、人生の岐路となる「卒業」をテーマに描く。今回は、新潟県新潟市と燕市の地元文化に触れながら、人口減少社会における問題に切り込んでいる。 【動画】卒業を前に、人生の岐路に立つ若者たち 「こころのふた~雪ふるまちで~」予告編 脚本兼プロデューサーを務めた高石明彦氏は「作品を作れなくなるまでこのシリーズをやっていこうと思っています」と、シリーズに込めた思いを語った。高石氏は教育で人生が変わる瞬間に感動し、教師を志した過去があるという。そこで教育とエンタメの融合した企画を考えていたところ、小学館から一緒にやってみようと勧められ、私の卒業という企画が始まった。第1作からオリジナル脚本にこだわる本シリーズだが、2作目で高石氏にとって、大きな転機があった。映画「新聞記者」(2019年)の脚本に参加したことだ。
河村光庸の熱い思いを引き継ぐ映画づくり 「新聞記者」の脚本執筆の際に、河村光庸プロデューサーから大きな影響を受けたと高石氏は語った。「あの人に出会えてよかったと思っています。本当に魂がすごいんですよね。自分で社会を見つめる視点と、しっかりと発信していく強い意志を教わりました」。日本アカデミー賞作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞を受賞したほか、脚本賞ほか計6部門にノミネートされた「新聞記者」は、話題となり多くの人が映画館に足を運んだ。 「社会派映画がこんなに注目されることに驚きました。表現の自由もあるし、もっと映像作品を通して社会で起きていることを伝えていきたいと思いました」。そして「私の卒業プロジェクト」2期目からは作品のテイストをがらりと変えて、社会性あるテーマを若者たちに伝える方向性になったのだという。 「河村さんは、作品を絶対お客さんに届けるんだっていう気持ちが、すごく熱いんですよ」と言うが、その熱意は高石氏の製作活動にもしっかりと引き継がれている。オリジナル作品の興行が厳しい昨今、高石氏は映像として観客が初めて触れるものという貴重さと、そこから得られる感動を伝えることを使命として、「私の卒業プロジェクト」ではオリジナル脚本を貫いているからだ。 また、台湾での放映が決定し、世界進出にも意欲的だ。「地方を元気づけることはもちろん、世界に発信することでロケツーリズムを促したい」と語った。