電動キックボードは新たな住民の足になるか マイクロモビリティ推進協議会が発足
電動キックボードのような小型移動手段の普及を目指す団体「マイクロモビリティ推進協議会」の設立総会が28日、東京・千代田区の衆議院第1議員会館で開かれた。「ラストワンマイル」などと呼ばれる自宅や駅などからお店までの日常的なちょっとした移動にこうした超小型モビリティを活用する環境づくりを模索する。会長を務める岡井大輝氏(Luup社長兼CEO)は「マイクロモビリティの実用化に必要なルールを提言したい」などと抱負を語った。
実用化に向けた取り組みを促進
マイクロモビリティとは、自動車よりも小さな1~2人乗り程度の車両を指す言葉。電動キックボードや、シニアカーと呼ばれる電動カートなどがある。近距離移動に適しており、人口減少と高齢化が進む過疎地の住民や、都市部でも近くの既存店舗の撤退などで日用品購入先が遠のいた「買い物難民」のための、徒歩や自動車、自転車以外の移動手段として注目されている。 同協議会は、このマイクロモビリティの実用化に向けた取り組みの促進を目的に、電動キックボードのシェアリングサービス事業者のLuup、AnyPay、mymeritと、投資ファンドでヤフー子会社のZコーポレーションの4社が設立した。
設立総会には、4社の関係者に加え、警察庁交通局や国土交通省自動車局の各担当者、国会議員や議員秘書らが出席した。岡井会長は「欧米では、電動キックボードが高齢者も含め老若男女に利用されている」と海外での利用状況を説明したほか、「過疎地こそ電動キックボードのシェアリングサービスの可能性がある」と強調し、バスやタクシー、ライドシェアと違い乗務員が不要な点や、低コストで運用可能な点をメリットとして挙げた。 欧米などの電動キックボードが普及している国では、利用者の交通事故も発生している。岡井会長は「事故のパターンとして、車道を走行中に自動車と接触する事故や、建物や器物にぶつかる事故、歩道で歩行者と接触する事故がある。これらを踏まえて、安全性を確保するためのルール作りを検討していきたい」とした。今後、同協議会では、安心・安全な電動キックボード利用に向けたルール作りや、安全運転のための指導方針を検討する。 電動キックボードは道路交通法上、原動機付き自転車扱いとなっている。このため、シェアリングサービスの展開時には、原付と同じく、車体に保安基準を満たした機器やナンバープレートの設置が必要になる。これについて、警察庁の担当者は「原付扱いではなく別の形でと考える事業者もあるだろう。使用車両や速度、安全確保の方法などは各事業者で異なるので、相談があれば個別に調整していきたい」と場合によっては弾力的に対応する姿勢を示した。 当面は主に電動キックボードの実証実験や事業化の推進、実用化に向けて必要となる新たな規制を含めた政策提言などに取り組む。長期的には、電動キックボードに限らず、日本に適したマイクロモビリティの普及促進を目指すという。 (取材・文:具志堅浩二)