明豊の左腕・太田 みんなの力で立つマウンド 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の決勝は1日午後0時半、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場でプレーボール。10年ぶり3回目の優勝を狙う東海大相模(神奈川)、春夏通じて初の全国制覇に挑む明豊(大分)は共に、プロ注目の絶対的エースを擁する学校が敗退する中、分厚い投手陣を生かして勝ち上がってきた。新型コロナウイルスの感染拡大で大会中止となった2020年を経た2年ぶりのセンバツで頂点を争う。【荻野公一】 【明豊vs中京大中京】大熱戦の準決勝を写真特集で 初の決勝進出がかかった大一番。明豊(大分)の太田虎次朗投手(3年)は試合直前に先発を告げられた。「直球で押していけば大丈夫、と言ってもらった。先発は試合の中で肩を慣らすという難しさがあるが、しっかり試合を作る意識で臨んだ」 最速141キロの直球とチェンジアップを武器とする左腕。昨夏のセンバツ交流試合は、現チームの投手陣の中で唯一、甲子園のマウンドに立った。「本塁打を打たれてしまったが良い経験になった。もう一回ここで投げたいと思ったし、経験値を生かしたい」 昨秋の公式戦では6試合に登板し48奪三振と、春切符をつかむ原動力となった。オフシーズンは、足にゴムを巻いてスクワットをするなど下半身を強化。投手陣で競い合いながら、制球力を鍛えた。 センバツ準決勝の前日、兄でプロ野球・巨人の太田龍投手から「ここまで来たら頑張れ」とLINEでメッセージをもらった。「ありがとう。絶対に勝ってくるわ」と返信した。 今大会で2度目の先発起用。川崎絢平監督は「調子が良かったので先発させた。頭の方が投げやすいだろうと起用した」と説明。5回と3分の2、101球の力投で6奪三振。昨秋は自分が相手打者を三振に打ち取らなければと執着していたが今は「うちは守備が良い。安心して投げられる」。仲間と冬の練習を乗り越え、野手陣に背中を任せ、打たせて取るイメージで投球できるようになった。 京本真(まこと)(3年)、財原光優(さいはら・あきひろ)(同)両投手との「三枚看板」の一翼を担い、ここまで継投で勝ち上がってきた。「自分のイニングを投げきるだけです」。仲間は、口数は少ないが芯の強さがあると評価する。 ピンチの場面、思い出すのは自分を支えてくれた人たち。ずっと背中を追いかけた兄は、甲子園出場はかなわなかった。明豊の先輩たちも春切符をつかみながら大会中止に涙した。「自分の力だけでマウンドに立ててるんじゃない。そういう意識で乗り切っている」。決勝に向けて気持ちも高ぶる。「疲労はない。決勝も投げる場面があると思うので、しっかり準備したい」。春夏通じて初の甲子園制覇に向け、気力は十分だ。【辻本知大】 ◇決勝戦もライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、決勝もライブ中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。