「リアルは苦手でも…」アバターで仮想空間を駆け回る不登校の子どもたち マインクラフトは学びと居場所を生み出すか
長野市が4月、不登校や不登校の傾向がある市内の小中学生向けに、同市七二会に開設する教育支援センター「SaSaLAND(ササランド)」。メタバース(仮想空間)を通じ、多様な学びや居場所の提供を目指す。市内の中学1年くりおねさん(13)=仮名=は1月下旬にあった体験会で、「アバター」と呼ばれる自分の分身を仮想空間で操っていた。
「物作りが楽しい」。マウスを動かしキーボードをたたいて、ゲーム内であっという間に洋風建築を完成させ、スタッフを驚かせた。見学を兼ねた体験会は数日間開かれ、保護者を含めて424人が参加。パソコンの画面では、子どもたちの操る複数のアバターが生き生きと駆け回った。
小学5年の頃、友人とのトラブルなどで学校を休みがちになった。中学進学後も、クラスに数日顔を出しただけ。今は週1、2回、校内の別室に短時間通い、残りの時間は自宅で絵を描いたり、ゲームをしたりして好きなことに没頭し時間を過ごす。
決められた時間割で自由がない学校生活に窮屈さを感じていたところ、母親の紹介でササランドを知った。リアルは苦手でも仮想空間ならアバター越しに興味が向いたことを学び、スタッフや同級生と音声通話で気軽におしゃべりできる。「自分のペースで学べそう」と体験会に足を運んだ。
対面で利用者と交流することに不安はあるが「しんどくて通えないときは自宅から仮想空間につながればいいから」。ササランドであれば、それができる。大人のスタッフが気にかけてくれる安心感も背中を押す。
既に100人以上の申し込みがあるササランド。「(仮想空間で)大好きなアスレチックや城をつくり、仲間と一緒に遊んで、少しずつ心を通わせたい」。前途に一筋の光明を見いだしている。