井上音生 「心に届くような楽曲を」歌手デビューへの想い:インタビュー
「東宝シンデレラ」オーディション出身の俳優・井上音生(イノウエネオ)が、10月9日にシングル「あなたに恋をしている」で歌手デビューする。「東宝シンデレラ」オーディション第8回(2016年)に審査員特別賞と集英社賞(りぼん賞)をW受賞した井上音生。2021年にはミュージカル『魔女の宅急便』に初主演。2023年10月に生配信舞台演劇ドラマ『あの夜であえたら』ではラジオパーソナリティ役、夜ドラ『VRおじさんの初恋』(NHK)に出演。地元愛媛松山の南海放送でパーソナリティを務めるラジオ番組『井上音生のNEOラジ』が今年で6年目を迎え、さらに今回の歌手デビューで活動の幅を広げている。デビューシングル表題曲「あなたに恋をしている」は、80’s歌謡曲の雰囲気を再現。彼女の透き通ったエバーグリーンボイスを存分に味わえる1曲に仕上がっている。カップリング曲には、彼女の歌手デビューのきっかけとなったラジオをテーマにした「ラジオパーソナリティ」を収録している。インタビューでは、歌手デビューへの想いから、レコーディングやMV撮影について話を聞いた。 【写真】井上音生、撮り下ろしカット ■大切な人を思ってレコーディング ――音生さんというお名前、とても素敵ですね。 ありがとうございます。後から知ったのですが、映画『マトリックス』の主人公がネオという名前で一緒だということに気づきました(笑)。 ――ご両親はどんな思いでこのお名前をつけたのか聞いたりされました? 私の父は大学で音楽に携わる仕事をしていて、音楽の先生などを目指している学生さんに授業をしています。それもあって「音」という漢字を入れたかったと聞きました。また、いろいろ考えた結果、「生」という字を加えて「ねお」と読ませ、ギリシャ語で「新しい」という意味も含まれているみたいです。 ――デビューまでもうすぐですけど、どんな気持ちで毎日過ごされていますか? レコーディングが終わって、8月2日にMVが公開されたのですが、その前に歌手デビューのお知らせをファンの皆様にさせていただいて、『頑張って!』という応援の言葉や嬉しい声をたくさんいただきました。やる気もどんどん出てきて、これから頑張るぞ!っていうワクワクが強いです。 ――デビュー曲「あなたに恋をしている」を初めて聴いたときの印象は? とてもストレートな想いを綴った曲だなと思いました。タイトルから想像できる通り、恋愛の曲で恋する乙女の歌詞もストレートですし、メロディと曲調も素敵で、この曲が私のデビュー曲になると知って、とても嬉しく思いました。 ――私はどこか懐かしい感じもある曲でした。きっと音生さんの世代だと新しい、新鮮な曲に聴こえますよね。 はい。新鮮に聞こえます。カラオケでもこういった曲を歌ったことはなかったので、新しい挑戦でした。多くの方に愛される楽曲になると感じました。 ――音生さんがラジオでしゃべっている声にレコード会社のディレクターさんが惹かれて、歌手デビューに繋がったとお聞きしています。歌声からではないというのは珍しいですよね。 そうなんです。歌手デビューのお話をいただいたきっかけが、私が6年間ほどやっている『井上音生のNEOラジ』という番組で、徳間ジャパンのディレクターさんが、私の声を気に入ってくださって、歌手デビューに繋がりました。 ――レコーディングはスムーズでした? ずっとボイストレーニングを重ねてきました。楽曲が出来上がってからは、その曲に集中して、表現方法など指導していただきながら、レコーディングに臨みました。私は歌のテクニックがあるわけではないのですが、歌ってみたらすんなり受け入れられたのでびっくりしました。それは私の声を気に入ってくださったディレクターさんが推してくれた曲だからこそ、とても歌いやすかったのかなと思います。 ――レコーディングなど行っていく中で、発見や気づきはありましたか。 歌も演技も近いところがあるなと思いました。自分の人生経験を通じて歌声を表現できると思っていて、今回は恋愛の曲なので、自分が好きな人がいることを想像しながらレコーディングしました。大切な人を思って歌ってみると意外と声がすんなり出たり、自分では思いがけない表現ができたりして、それは発見でした。 ――歌詞でお気に入りのフレーズ、特に共感できたフレーズはありますか? 私は人見知りなので、歌詞の登場人物のようにストレートに気持ちを伝えるって事はなかなかできないので、すごいなと思いました。歌詞のなかに、<メイクを変えたり 服を選んだり忙しいわ>というフレーズがあるんですけど、そこが特にお気に入りなんです。私も生活していく中で、心が弾むとメイクを変えたり、洋服を選ぶのに時間がかかったりするので、このフレーズが自分と重なりました。 ■この味はきっと忘れない ――MVも曲とすごくマッチしています。海をバックに撮影されていますが、ロケ地は? 鎌倉です。この日はすごく暑かったんですけど、素敵な雰囲気の中で1日撮影させていただきました。「あなたに恋をしている」の設定があって、主人公は鎌倉で暮らしている女の子なんですけど、MVを撮影している時も、きっとその主人公もこの海を見て思いを馳せているんだなとか想像していたら、とても楽しかったです。本当に素敵な場所だったので、プライベートでも遊びに行きたいなと思いました。 ――MV撮影は初めてですよね? 6年ほど前に、Rhythmic Toy Worldさんの「僕の声」という曲のMVに出演した経験はあるのですが、自分の曲というのは初めてのことなので、全く違った気持ちで撮影に臨みました。 ――鎌倉では美味しいもの食べられました? しらす丼を食べました! 撮影が全て終わって緊張からも解き放たれたので、とても美味しかったです。この味はきっと忘れないと思います(笑)。 ――3曲目には「あなたに恋をしている~恋のはじまり~」が収録されています。声優としての音生さんの声が聞けます。ボイスドラマとしてこの曲の世界観を広げてくれますが、実際やってみていかがでした? 「あなたに恋をしている」の作詞をしてくださった渡辺なつみ先生が考えた設定やセリフを先に読んで、楽曲のレコーディングを終えてから、「あなたに恋をしている~恋のはじまり~」に挑戦したので、やりやすかったところもありました。でも、ドラマCD的なものは初挑戦だったので緊張しました。また、レコーディングは自由にやらせていただきました。「あなたに恋をしている」を作曲してくださり、ボイストレーニングでもお世話になった向井浩二先生が、声を録音したものにピアノ伴奏をつけてくださって、より素敵なものに仕上がりました。 ――伴奏は後からついたんですね。声が生き生きしていて、とても楽しそうにやられているのが伝わってきました。どんなところに注目してほしいですか? クライマックスに向けた勢いや叫ぶシーンにぜひ注目していただけたら嬉しいです。それを聞いた後で、また「あなたに恋をしている」を聴いたら、もっとキュンキュンできると思います。 ■ラジオが一番リラックスできる場所に ――シングル2曲目の「ラジオパーソナリティ」。これは先ほどもおっしゃっていた、ラジオ番組から歌手デビューに繋がったこともあり、すごく音生さんらしさを感じさせる曲ですね。 たかはしごう先生が私のラジオを聞いて作ってくださった曲です。私がラジオパーソナリティをやっていて思っていることや心掛けていることが歌詞の中に入っていて、すごく感情移入しやすかったです。 ――後半に登場する、<「それではここでメッセージを紹介します。」>まさにラジオといった感じの語りもとてもいいですね! このパートは私がセリフを考えて、一発録りしたものなんです。リスナーさんのお便りに答えて、私も頑張りますという気持ちを込めたセリフを入れたいと思い、ちょっと不安もありながらチャレンジしてみたのですが、うまくはまって嬉しかったです。 ――ご自身の番組でデビューシングルを流せるのも嬉しいポイントですよね? 歌手デビューのきっかけでもある番組で、楽曲を披露させていただけてすごく嬉しかったです。実はちょっとハプニングもありました。「あなたに恋をしている」を初めてお披露目するとなった時に手違いで「ラジオパーソナリティ」が流れてしまいました。その後に「実はこれ『あなたに恋をしている』ではなく、カップリング曲の『ラジオパーソナリティ』です」とお知らせしました。そのあと改めて「あなたに恋をしている」を流していただいたのですが、こういったハプニングも生放送ラジオならではだなと、いい思い出になりました。 ――音生さんがラジオパーソナリティとしてやりがいを感じているところは? ラジオでお便りなどメッセージをいただいたら「ありがとうございます!」、「皆さんお元気ですか? 私は元気です」とかラジオならではの文言を話すと、私はスイッチが入ってラジオモードになります。ずっとやってきたからこそ、ラジオ放送をしているときが一番リラックスできる場所になっていて、もはや生活にかかせないものになっています。自分の身の回りにあったことを書き出して、自分で原稿も作成しているのですが、リスナーの皆さんにいろいろお伝えするのがすごく楽しくて、やりがいになっています。 ――ラジオのお仕事はライフワークになっているんですね。 はい。リスナーの皆さんが、ラジオをちゃんと聞いてくれているのが、お便りやSNSのコメントを通して伝わってくるので、本当に嬉しいです。これからもずっと続けていきたいと思いますし、この繋がりを絶やしたくないです。 ――最後に歌手活動の目標や展望をお願いします。 これからたくさんの方の心に届くような楽曲をお届けできればいいなと思っています。まずはデビュー曲「あなたに恋をしている」をたくさんの方に聴いていただきたいので、まだまだ俳優としても未熟ですが、歌手として勉強を重ねて、これからもたくさんいい歌を届けていけたらと思っています。 (おわり)