ボクシングの女子世界王者 TKOで具志堅氏の持つ記録に33年ぶりに並ぶ
TKOで記録に並ぶ
女子ボクシングのトリプル世界タイトル戦が、雛祭りの3月3日、後楽園ホールで行われ、3人の日本人世界王者がそれぞれ防衛に成功した。注目を集めたのは、元WBA世界ライトフライ級王者、具志堅用高氏の持っている「13度の連続最多世界王座防衛」の日本記録への挑戦となったWBC女子世界アトム級王者、小関桃(青木ジム)と、同級10位、アンゴー・ワンソンチャイジム(タイ)との世界戦。小関は、サウスポースタイルから持ち前のアグレッシブなファイトで、終始前に出て、多彩なコンビネーションを交えた手数とスピードで圧倒した。 4回、7回と、途中公開される採点は、パーフェクトで小関を支持。有吉会長の「すぐいけ!」「3つ、4つまとめろ!」「倒せ!」という指示に従って、6回からは果敢にKOを狙いにいった。ムエタイ70戦以上の経験のある無敗の17歳は、必死にクリンチで逃げたが、最後は完全に戦意を喪失して9回1分43秒にレフェリーが試合を止めた。TKOを宣告された世界初挑戦のタイ人は、フラフラで真っ直ぐ歩いてコーナーに帰れないほどのダメージを受けていた。 小関は、“ピンクのサウスポー”と、勝者アナウンスを受けても、派手に喜ばなかった。具志堅氏が33年前に作った偉大なるV13の記録に並んだことを伝えられると、「どうしても言いたいことがある」と、小さな声を頑張って拡声した。 「具志堅さんの記録と比べられますが、男子と女子の記録は違うものです。記録を比べるのには無理があります。でも5年半にわたり、13回の防衛をしてきました。毎回、100%のコンディションを作り、結果が出なければ次がない、生き残るために練習を頑張ってきました。そういう自分自身だけは、誇りに思っています」 場内から大きな拍手が起きた。人見知りの激しい、引っ込み思案のアスリートが、よく自己表現をしたと思った。「記録のことを持ち出され、いつも以上にプレッシャーを感じて緊張した」。控え室に帰ると、小関は、そう言って下を向いた。