野麦峠スキー場 存廃正念場 2シーズンは営業継続へ
長野県松本市は経営不振が続く市営野麦峠スキー場(奈川)について、少なくとも今冬、来冬の2シーズンは営業を続ける方向で調整している。地元関係者などでつくる「持続可能な奈川地区推進協議会」が存廃を含めて議論してきたが、「多様な価値を検証するには一定の期間が必要」としておおむね2シーズンの猶予と判断を市に要望。市は地元の再生支援を見極めた上で意思決定する方針だ。 市によると、近年は雪不足で営業日数が減り、昨年度の利用者は前年度比15・3%減の2万1818人で、平成の大合併以降で最少となった。一方、市は指定管理料やリフト整備費などに毎年1億円以上の経費を負担。人工降雪機などの故障対応にも追われている。 同協議会は昨年度、スキー場のあり方について関係者へのヒアリングを交えて協議を重ねた。3月末に市に提出した報告書では、厳しい経営が判断材料の一つだと理解しているが、存続要望が多く意見は多様だとし「いま一度スキー場の価値や可能性を考え、取り組みたい」と強調。希薄化している市、運営事業者、宿泊施設、スキークラブなどの協力体制を強化する考えを示した。 協議会長を務める勝山裕康・奈川地区町会連合会長は「皆で集まって課題を検討しようという雰囲気になっている。まだ取り組めることは多い」と話す。 市は今冬の営業を決めている。それ以降は未定だが、アルプスリゾート整備本部は「今冬で終わりとはならないだろう。地元の機運の高まりが具体的にどんな動きとなるか、スキー場運営にどんな変化が出るのかを注視していきたい」としている。
市民タイムス