『虎に翼』ハ・ヨンス“香淑”の“やるべきこと”の真意 寅子と花岡の関係にも変化が?
香淑(ハ・ヨンス)の運命を変えてしまった日中戦争の勃発
ある日、竹もとに集まって勉強会を開いていた寅子たちのもとに突然特高が押しかけてくる。すでに朝鮮に帰国していた香淑の兄・潤哲(ユン・ソンモ)だったが、朝鮮では治安維持法に反する労働争議に加担し姿をくらましているのだという。香淑にとって潤哲は日本に呼んでくれた人物。日本では文芸誌の編集として働いていたが、同じ出版社で働いていた朝鮮人が反体制思想の集会に参加していたことが発覚し捕まったことから、潤哲と香淑にもその疑いがかけられていた。これも全ては前年に始まった日中戦争の影響だ。戦争へと傾いていく日本において朝鮮人の香淑は日本に居続けるのはかなり厳しい状況となっていた。 潤哲は「一緒に帰らないか」と香淑を誘うが、香淑は「やるべきことがあるから」と朝鮮に帰ることを断っていた。やるべきこととは寅子たちと一緒に高等試験に合格することを意味するのかと思っていたが、その真意は違っていた。「みんなの試験を見届けて、それから国に帰るつもりでした」とみんなに頭を下げる香淑。彼女は寅子たちと、これからの女子部のために少しでも役に立ちたいと、勉強を続けていたのだ。 だが、よねも言うように香淑が帰国するタイミングは今しかない。これを逃してしまえば、日本は戦争へと突入し、状況は悪化していくばかり。本来であれば香淑も一緒に試験に合格する瞬間を見届けたいものだが、今は何よりも香淑の安全が最優先だ。無事に帰国できることを願いたい。
川崎龍也