《「103万円の壁」引き上げ論議への意趣返し》財務省が目論む厚生年金加入要件「106万円の壁」撤廃計画 手取りは減少し、さらに待ち受ける増税の数々
増税も待っている
意趣返しのような動きは、年金保険料をめぐるものだけではない。経済ジャーナリストの荻原博子氏は今後、103万円の壁の減税議論が本格化すれば、財務省はその“対価”を求めて国民への負担増を迫ってくると見る。 「103万円の壁引き上げで失われる財源7兆円は、厚生年金の106万円の壁廃止による保険料収入の増加だけでは賄えない。財務省は今後、増税に走ることになる。 税制大綱では16歳から18歳までの扶養控除を見直すことになっているし、配偶者控除の縮小・廃止、あるいは政府税制調査会の中期答申に盛り込まれた給与所得控除の見直しや退職金増税などで、失われた税収分を取り戻そうとするでしょう」 さらに荻原氏は「今の財務省の懐は潤っている」と指摘する。 「国の税収は4年連続で過去最高を更新し、2023年度は72兆円。5年前より年間14兆円近く増えている。実は財務省は税収バブルなんです。それをいろんな基金に貯め込んでいる。そうした税収増と埋蔵金を使えば、国民負担を増やさなくても減税はできるはずなのです」 玉木氏が不倫スキャンダルで揺さぶられ、103万円の壁の引き上げを妥協すれば、その時こそ国民への裏切りとして断罪されるだろう。 (前編から読む) ※週刊ポスト2024年11月29日号