維新代表選、与党協調路線の否定目立つ…是々非々では埋没の懸念
日本維新の会の代表選(12月1日投開票)の論戦で、自民、公明両党との協調路線に否定的な主張が目立っている。経済対策を巡り国民民主党が与党との協議で成果を上げる中、同じ「是々非々」路線では埋没の懸念があるためだ。一方、来年の参院選に向けた野党共闘に関する立ち位置では隔たりがある。
24日は、京都市内で候補者4人の合同街頭演説が行われた。空本誠喜衆院議員(60)は「参院選で野党が過半数を取れば、自民党の弱体化を図ることができる」と述べ、野党との連携で政治改革を進めるべきだと強調。松沢成文参院議員(66)も「既得権擁護の政党になれば『第2自民党』になる」と訴えた。
現執行部は、政策実現を優先して与党との協議も辞さない姿勢だったが、10月の衆院選では「与党寄り」と見られたことで公示前から6議席減らす敗北を喫した。代表選では、知名度のある大阪府知事の吉村洋文共同代表(49)が序盤から「自公政権と対峙(たいじ)する」と打ち出し、与党と距離を置く論調が強まった。現執行部に近い金村龍那衆院議員(45)は「与野党問わず協議していく」としつつ、「第3極の政治を目指して選択肢を示す」とも語る。
衆院での与党過半数割れの下、国民民主は看板政策である「年収103万円の壁」見直しの方針を政府の総合経済対策に明記させるなど、与党との協議で存在感を示している。維新幹部は「お株を奪われた形で、今さら同じことをしても評価されない」と漏らす。
もっとも、他の野党との距離感では意見の食い違いが出ている。吉村氏は、参院選でも与党を過半数割れに追い込むため「1対1の構図に持ち込むべきだ」として、改選定数1の「1人区」での野党候補の一本化を提案。これに対し、金村氏は「(野党間で)協議すると野合に見られる。堂々と候補を立てるべきだ」と反論している。
現在の馬場代表はこれまで、立憲民主党の国会運営などを度々批判して共闘を拒否してきた経緯があり、与党と「決別」したとしても、路線対立の火種は残る可能性がある。