日銀の多角的レビューと非伝統的金融政策①:非伝統的金融政策とは何か
非伝統的金融政策を各国がレビューをするとき
こうした中でも、各主要中央銀行が果敢に非伝統的金融政策手段を導入した際に、十分な検証がなされずに、他の中央銀行に倣って、半ば安易に実施してきた、という側面がなかっただろうか?そうした面が多分にあったのではないか。この点については、今後しっかりと検証されていくべきである。 さらに、他の中央銀行が導入した政策手段を採用する場合には、当該国(地域)との経済、金融環境の差異について、事前に十分な検討がなされるべきであるが、果たしてそうであったのかについても、十分な検証が必要であろう。
各国の事情に即した望ましい政策の組み合わせを模索
将来の景気後退に対して金融政策が十分に対応できるかどうかについて大きな不安が残るなか、次の景気後退、あるいは次に金融危機が生じる前に、非伝統的金融政策に関するこのような点を十分にレビューしておくことが各中央銀行に求められるだろう。それを踏まえて金融規制、財政政策、構造改革など多様な政策手段を、(非伝統的金融政策での反省も踏まえて)各国の事情に十分に即した望ましい組み合わせで実施していく戦略を、各国で検討すべきであると考える。 そして日本銀行の非伝統的金融政策の効果と副作用については、マイナス金利政策解除後も、「多角的レビュー」でしっかりと検証していって欲しい。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英