メジャーに日本人投手黄金時代到来!
タイガースのトリー・ハンターにも印象を聞いて見た。ダルビッシュ、岩隈、田中、黒田、松坂の先発ローテーションをどう思うかと。すると彼は青木同様、「彼らが同じチームにいたとしたら、メジャーのベストローテーションだ」と持ち上げ、彼らを擁するチームと対戦するとしたら、どんな感じかと問うと、言った。「足が痛いって言う・・・(笑)」 仮病を使って試合を休むということだったが、こうも続けている。「もしそんなことが実現したら、真面目な話、最高のローテーションだ。ダルビッシュと岩隈なんて、去年のサイ・ヤング賞投票(ア・リーグ)の2位と3位じゃないか。で、田中? 勘弁してくれよ」。そのハンターに言わせると、「彼らの活躍は、当然」だそう。「だって、日本のトップだけが来ているんだろう? 日本のトップ選手は、こっちで通用するとか、しないとかじゃかくて、こっちでもトップレベルで争うだけの力があると言うことだ」。 多少はリップサービスもあるのだろうが、では、どんな要素があったから、こういう状況になったのか。エンゼルスのC.J.・ウィルソン投手にそんな質問をすると、「僕は子供の頃、カリフォルニアに住んでいたから、野茂のファンだった」という彼は、こんな話をした。「やはり、野茂の存在が大きいのではないか。彼のおかげで道が開けた。日本人投手でも通用することが分かって、ダルビッシュらの世代は、小さな頃から、メジャーで活躍するイメージが出来た。そういう環境の変化が大きいように思う」。 ウィルソンは、野茂の存在を「橋」にも例えている。「橋が、強固だったからこそ、後に続く投手も安心して渡れた」。それで思い出したが、ダルビッシュがキャンプ中に田中の長期巨額契約について聞かれると、こんな話をしていた。 「(僕がメジャーに来たのは)日本の選手の評価を上げることだった。その時はどん底でしたから。僕と黒田さんと岩隈さんがいたから、助けることが出来たかなと思います」。野茂が築き、やや修繕を要した橋を、ダルビッシュらが整え、田中を迎えた。その田中の活躍で、橋はかつてないほど強固となった。 さて、その彼らが将来、同じチームでローテーションを組む可能性はあるのだろうか。絶対にないとはいえないが、現実的に考えれば、実現性そのものは低い。ただ、黒田を除いたメンバーは、2009年の第2回ワールドベースボール・クラシックでチームメートだった。彼らが強かったはずである。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)