「謝ったが、謝られなかった」…国民がなぜ怒ったのか分からなかった韓国大統領の会見
「謝ってはいるが、どうして謝られていない気がするのか」 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の7日の国民向け談話や記者会見を現場で見守った後、会見場を出たら携帯電話にかなり多くのメッセージが届いていた。その中で一番目立ったのがまさにあの文句だった。15分間の国民向け談話、125分間の記者会見を貫く最も的確な寸評だったからだ。 尹大統領は確かに「すべてが私の不注意であり、私の不徳の致すところ」として「国民の皆様に先に申し訳ないという言葉、心からお詫びを申し上げる」と頭を下げた。普段、謝罪しない性格だという尹大統領が前向きな姿を見せているようだった。 しかし、記者団との質疑応答が長くなるほど、第一印象は薄れていった。金建希(キム・ゴンヒ)夫人問題に関して尹大統領は、「『針小棒大』は基本で、ないものまで作って、それこそ私をターゲットにして妻を悪魔化した」と答えた。尹大統領の発言通り、大統領選挙レースの序盤、金夫人を狙った「ジュリ」論争など左派陣営の魔女狩りは深刻だった。ドイツモータースの相場操縦事件を輪にした特検法も政争用の意味合いが強かった。これは大多数の国民も認知している部分だ。だが、その後に浮上したディオールバック、漢南洞(ハンナムドン)ライン、ミョン・テギュン氏のメッセージなども単に「金建希の悪魔化」の産物だったのだろうか。 結局、会見の終盤に「具体的に何に対する謝罪か」という問いには「具体的に言うことが難しいのではないか」とし「〔慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)国家先端産業団地選定介入疑惑は)事実と違うことなので、それは認めることもできず、謀略」と話した。謝罪の時間は短く、言い訳の時間は長い会見に転落した瞬間だった。 ミョン・テギュン氏の通話記録について、公認介入疑惑を説明する過程では、大統領の安易な認識が明らかになった。「誰かの公認をお願いするという、実際そのように頼むこともあり得る。それは外圧ではなく、意見を述べることだ」という発言は、大統領の公認介入が別に問題ではないように聞こえた。過去ならともかく、朴槿恵(パク・クネ)元大統領が「朴槿恵派の人物」の公認に介入した疑い(公職選挙法違反)で懲役2年を言い渡された2018年以降は厳格に禁止される行為だ。周知のとおり、当時、朴元大統領を起訴したのは、尹錫悦ソウル中央地検長だった。 実際、今回の会見で最も重要な課題は、地に落ちた国政運営の動力を反転させる収拾策を打ち出すことだった。尹大統領の言葉のように、「我々の考えは過去にあり、現実はそうではない部分」なのかもしれないが、人的刷新は大統領の最も強力な権限である人事権で解決できる問題だ。にもかかわらず、尹大統領はすっきりとした回答を出すことができなかった。たとえ「首相の推薦を野党から受ける」のような破格的な提案はできないとしても「全面内閣改造を通じて心機一転する」ような意志表明もなかった。支持率を上げる方法を尋ねると、「(支持率を上げる)小細工のようなものは、私は使い方も分からず、自分の体質にも合わない」と答えたのがせいぜいだった。 尹大統領は先月22日、釜山梵魚寺(プサン・ポムオサ)を訪れ、「石を投げたら当たっても進む」と言ったが、世論の批判を受けた。「マイウェイ」にしか読まれないからだ。尹大統領の推進力は、医学部定員の増員問題だけを見ても、誰でも分かる。国民は今なぜそのような推進力を自分と金夫人の問題解決に使えないのか聞いている。「私の真心は常に国民のそばにあった」という国民向け談話の発言が国民に真心を伝えるためには、尹大統領が変わらなければならない。 ホ・ジン/大統領室チーム長