【MLB】 2024MLBドラフト展望 全体1位候補に突如現れたダークホース、ウェザーホルト ガーディアンズは契約金を分散させるか?
日本時間7月15日(月曜日)の朝8時から、2024年のMLBドラフトがスタートする。今季のドラフトクラスは不作と評価されることが多く、飛び抜けた候補は不在。今回は全体1位指名候補に突如現れたダークホースを紹介。全体1位指名権を持つガーディアンズが取り得る戦略を考察する。 【MLB】 2024MLBドラフト展望 全体1位最有力の2人は低評価を覆した苦労人 一般入部から這い上がった大砲コンドン、オーストラリア生まれのバザーナ 前回の記事では、今ドラフトトップ2の評価を受けるチャーリー・コンドン外野手とトラビス・バザーナ内野手を紹介した。これまではコンドンとバザーナのどちらかが、ガーディアンズの持つ全体1位指名権で選択されるとの予想が大半。特に小柄な打者の育成に長ける(ホセ・ラミレスなど)ガーディアンズは、バザーナを好むのではないかという予想が多かった。しかし、ドラフトが近づくにつれて全体1位候補にダークホースが現れた。それが好打の大学生内野手JJ・ウェザーホルトだ。 ウェザーホルトはもともと昨季の段階では、バザーナと肩を並べる全体1位の最右翼だった。しかし、ウェザーホルトは今季の半分を故障で棒に振り、その評価は下落。バザーナや今季ブレイクしたコンドンと比べると、一段低い評価に甘んじることが多かった。 なぜ株が下がったウェザーホルトが再び全体1位指名の候補に浮上してきたのか?それはウェザーホルトの評価が下がったことによって契約金を安く抑えられるためだ。MLBのドラフトでは各順位に紐づけされたボーナススロットの合計であるボーナスプール、つまり各チームがドラフト全体に費やせる契約金の総額が決まっている(超えると罰金、翌年ドラフト指名権の没収も)。 このルールによって、1巡上位の指名権を持つチームは、契約金の総額(ボーナスプール)を分散させる戦略を取ることが多々ある。つまり、1番高い指名権であえて契約金を“節約”できるような選手を選び、2、3番目の指名権でも契約金が高くつきそうな優秀な選手を確保するという具合だ。 この契約金を分散させる戦略の有名な成功例が、2012年のアストロズだ。この年の全体1位指名権を持っていたアストロズはカルロス・コレア遊撃手を指名。その契約金はスロットの720万ドルに対してわずか480万ドルに過ぎなかった。しかし、1巡目補完ラウンド(全体41位)でランス・マッカラーズJr.を高額な契約金で獲得。マッカラーズJr.の契約金はその指名権の契約金スロットの2倍、全体13位相当の250万ドルに上り、とてもコレアの契約金の余剰分無くして賄える額ではなかった。その後、コレアとマッカラーズJr.が投打の主力としてアストロズの黄金期を支えたのは言うまでもない。 今年の全体1位指名権を持つガーディアンズも、この戦略を踏襲するかもしれない。ウェザーホルトは故障さえなければ、バザーナに勝るとも劣らない好打者だ。そして、バザーナは昨年のポール・スキーンズの契約金を超える921万ドルの契約金を狙うとの予測(『ESPN』)もあり、契約金は高いだろう。 もしガーディアンズが、ウェザーホルトとバザーナの才能を同程度、あるいは契約金の差(200万ドルほどか?)ほど無いと判断すれば、ウェザーホルトが全体1位に躍り出る可能性は十分にある。『ESPN』は全体1位の可能性を「ウェザーホルトが45%、バザーナが40%、ジャック・カグリオン(二刀流)が10%、コンドンが4%」とし、『MLB.com』は「バザーナが34%、コンドンが33%、ウェザーホルトが32%」と予想している。
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