「監督の力のなさ」 日本航空石川・中村監督の目に光る涙 センバツ
第96回選抜高校野球大会は25日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦最後の試合があり、元日の能登半島地震で大きな被害を受けた日本航空石川は常総学院(茨城)に0―1で敗れた。試合後の日本航空石川の中村隆監督の主な談話は次の通り。 【熱戦を写真で】日本航空石川、ピンチの時に見た帽子の裏に… ◇「笑顔、感謝、恩返し」選手が体現 ◇日本航空石川・中村隆監督 ロースコアの試合を描いていた。先発の猶明が頑張ってくれた。(常総学院先発の)小林君にはぶれない大黒柱のオーラがあった。こちらもチャンスを2度作ったが、点が取れなかった。監督の差で負けさせてしまった。 (小林投手は)ストレートが多めと予想したが、変化球が多かった。「低めの球を振ってしまうと苦しいぞ」と修正をかけたが、勝負どころでしっかり投げられるコントロールと度胸が素晴らしかった。 (スタンドの応援は)本当に温かかった。(能登半島地震後の)今までのことを思い出してしまうぐらい、背中を押された。心温まる拍手をしていただいた。 選手は最後まで全く諦めなかった。笑顔、感謝、恩返しを(テーマに)掲げていたが、それを体現してくれた。(目に涙を光らせながら)勝たせてやれなくて申し訳ないと思う。 (八回2死満塁で能登半島地震で被災した福森投手を伝令に送った)福森が一番、ベンチの前線で声を出してくれていた。「ここは大事なところだから気持ちを入れてこい」ということで、伝令に送った。 (福森投手について)彼は背負うものがあったと思うが、それを言い訳にせずに力に変えてやってきた。歯を食いしばって、きついことでも一切顔に出さずやってきたことが、彼の力になった。その姿に僕らも勇気をもらい、励まされた。本当によく頑張ってきたと思う。 (九回にはピンチで内野陣が見事に併殺を完成させた)内野の守備を課題にこの冬はやってきた。(ショートの)北岡がスーパープレーを出してくれた。流れを引き込むプレーができる選手だと思っていた。彼のプレーで「これで大きく波が来るかもしれない」というところで、実際に来たが、それを生かせなかったのは監督の力のなさ。申し訳ないというか、情けない気持ち。 試合の終盤がチームの課題だとずっと言ってきた。「見えない人、見えない力が必ずお前たちの背中を支えている」と言ってきた。「ここが頑張り時」だという話を最後のミーティングでした。 最後まで声が途切れることなく、劣勢になった時でも「逆転できるんだ」と信じて、最後まで戦っていた。たくましくなったと思いながら見ていた。 (今後に向けて)自分たちの姿が、また誰かを勇気づけられることができるかもしれない。夏に向けて「野球を通して何かを伝えられれば」ということは、変わらずにやっていきたい。