【大学野球】青学大3連覇決めるV3ランの佐々木主将が「本当にごめん。お待たせ」
◆東都大学春季リーグ戦▽第4週第3日 青学大3―1中大(29日・神宮) 青学大が3季連続15度目のリーグ優勝を果たした。勝った方がVという中大との大一番は、0―1の4回に主将で5番の佐々木泰(たい)三塁手(4年)が逆転3ラン。先発の中西聖輝投手(3年)が5安打1失点で完投し、勝ち点を4(9勝3敗)とした。青学大の3連覇は2005年春~06年春以来。全日本大学野球選手権(6月10日開幕・神宮、東京D=報知新聞社後援)への2年連続7度目の出場も決定し、昨年に続く連覇を目指す。 低い軌道で飛んだ打球が、レフトスタンドに突き刺さった。リーグ戦通算12本目。佐々木ならではの力強いアーチが、青学大に3連覇をもたらした。何度も右腕を突き上げながらダイヤモンドを1周。ベンチ前で仲間に向かって「ヤーッ」と2度叫び、喜びを爆発させた。 この試合まで打率1割7分1厘、本塁打もなかった。「本当にごめん。お待たせという感じでした」。言葉には実感がこもっていた。「自分が打てなくてもチームが勝てばいいと思ってやっていたが、心のどこかで活躍したいという気持ちがあり、もどかしかった」。苦しんできた主将が、最後の最後でヒーローになった。 1年春にいきなり4本塁打を放ち、東都NO1の長距離砲として注目されてきたが、昨秋、打率1割7分6厘と低迷し、今季も不振を引きずった。「昨年の(主将の)大輔さん(中島大輔=楽天)は、プレーで引っ張っていた。その点で焦りはありました」。焦りが力みにつながり、自分のスイングができなくなっていた。「コンパクトに、まずランナーをかえすことを意識したら、最も飛んでくれるポイントで捉えることができました」。後のない戦いで、シンプルに気持ちを整理した。 開幕8連勝のあと3連敗。優勝目前という重圧がナインの平常心を奪った。主将は「普通にやれば勝てる。自信を持ってやろう」と味方を鼓舞した。前回3連覇時の主力だった巨人・円谷スカウトは「自分の成績とは関係なく、献身的に野球に取り組む姿がチームにいい影響を与えていた」と目を細めた。 全日本大学選手権には、ディフェンディングチャンピオンとして臨む。「(青学大は)駅伝ばかりでなく、野球もあります。ぜひ選手権で神宮に足を運んでいただき、優勝する姿を見てほしい」。佐々木の表情には、3連覇という“責務”を果たした自信がにじんでいた。(浜木 俊介) ◆佐々木 泰(ささき・たい)2002年12月24日、岐阜・大垣市生まれ。21歳。県岐阜商では主将。高校通算41本塁打。20年夏の甲子園交流試合でも本塁打を放つ。青学大では1年春のリーグ戦で4本塁打を放つなど、東都の1年生史上最多となる年間6本塁打をマーク。リーグ戦通算79試合に出場し、打率2割3分4厘、12本塁打、31打点。趣味はサウナ。好きな芸能人は千鳥。178センチ、82キロ。右投右打。
報知新聞社