望遠鏡には鮮明な「北朝鮮の集落」が……世界で最も北朝鮮に近い『スタバ』旅行ジャーナリスト体験ルポ
「世界的な観光地に」…地元民からは「報復」懸念も
韓国と北朝鮮の軍事境界線から近い場所に昨年11月末、アメリカ発コーヒーチェーン『スターバックス』がオープンした。その店舗がある展望台、その目の前を流れる中立水域に指定される川をはさんだ向こう側が北朝鮮で、その距離はたった1.4kmほどしか離れていない。 【画像・全9枚】すごい…! 展望台の高精度望遠鏡には鮮明な「北朝鮮の集落」が…… オープン当時の報道などによると、スターバックスを誘致した現地の市長は「世界的に注目される観光地にしたい」と語ったという。北朝鮮が一望できるスターバックスが世界初である一方で、いまだ解決の糸口が見えない緊迫した状態が続く現地では、北朝鮮からの反発がないかなど地元民から懸念や不安の声も聞かれるとのことだ。 筆者は今年1月初め、現地へ足を運び、スターバックスを利用した。その現地の様子をはじめ、日本人旅行者だと簡単に行けない諸事情なども合わせて紹介する。 ◆軍の管理下で「入場制限あり」、日本人旅行者の予約が難しい理由 韓国北部の金浦市にある愛妓峰(エギボン)展望台は、韓国では「北朝鮮が最も近く見える場所」として知られる。愛妓峰平和生態公園の敷地内にあり、この公園は韓国軍が管理し、入場には予約が必要。1日に数回、それぞれ200人限定だ。 愛妓峰平和生態公園の公式サイトには、韓国語と英語のページがある。しかし、公園入場の予約は韓国語ページのみで、しかも、韓国での住所などを入力しないといけない。加えて、入場料の支払いに、日本発行のクレジットカードなどは利用不可。つまり、日本在住の旅行者が予約するには、現地の韓国人らに頼むしかない。 もし当日に空きがあれば、現地のチケットオフィスで入場券を買うことも可能だ。その予約画面で、入場可能な残り人数はわかる。休日などは厳しいが、平日かつオフシーズンなら、できれば午前中の早いうちに現地へ行けば入れる可能性は高いだろう。 ◆銃を持った兵士による「検閲」を受け、やっと公園内へ 筆者は予約なしで、現地のチケット売り場で入場券を買うことができた。大人1人3000ウォン(約300円)で、その購入時に「パスポート」の提示が必要。その他必要事項の記入も必須だと、事前に調べた際に聞かされていたが、今回は記入なしでOKだった。支払いは外国人旅行者向けプリペイドカード『WOWPASS』をあらかじめ登録し、必要金額分をチャージしておいたのを利用した。 チケット売り場はゲート入口にあり、スターバックスがある展望台はその先で、チケットオフィスで案内されたシャトルバス(無料)を利用した。バスが発車してすぐにゲートで止まり、愛妓峰を管理する韓国海兵隊の銃を手にした兵士がバス車内に入って来て、チケットのチェックと「予約済みか予約なしか」と、行き帰りで聞かれた。 ただスターバックスを利用するだけで、銃を持つ兵士による検札があると、やはり緊張したが、けっして強い口調でなく、的確に返答してすぐ終わり、バスは出発した。チケットはくれぐれも失くさないようにしたい。