35年前の両親殺害事件で終身刑の兄弟、米検察が量刑見直しと仮釈放を勧告
1989年に米ロサンゼルス郊外の高級住宅地ビヴァリーヒルズで両親を殺害したとして有罪となり、仮釈放の可能性のない終身刑に服している兄弟について、ロサンゼルス郡の地方検事は24日、量刑の見直しと仮釈放を裁判所に勧告すると発表した。 事件は1989年8月20日に発生。当時21歳だったライル・メネンデス受刑者(56)と、18歳だったエリック・メネンデス受刑者(53)が、帰宅すると両親の遺体があったと警察に通報した。 両親はテレビを見ていた時に散弾銃2丁で13発撃たれていた。犯行の残忍さから、捜査当局は当初、マフィアによるものとみていた。 しかし、兄弟は心理学者への告白をきっかけに、1990年に逮捕・起訴された。 1993年に始まった裁判では、兄弟は殺人を認めた。だが、正当防衛のためであり、両親に殺される恐れがあったと主張。弁護団は、兄弟が長年にわたって父親から精神的、肉体的、性的虐待を受けていたとした。 これに対し検察は、両親の財産1400万ドル(現在のレートで約21億円)を狙った犯行だったと主張。兄弟は何日も前に散弾銃を購入するなど、周到に準備していたとした。 裁判は最初、陪審団の判断が一致せず審理無効となったが、1995年の2回目の裁判で、兄弟に第1級殺人罪での有罪判決が出された。 ■新たな証拠による判断 ロサンゼルス郡のジョージ・ガスコン地方検事はこの日の記者会見で、新たな証拠を根拠に、兄弟の終身刑は見直されるべきだと表明。25日に法廷で勧告書を提出するとした。 新証拠の一つは、エリック・メネンデス受刑者が家族の1人に1988年に送ったとみられる手紙だった。その中で、父親のホセ・メネンデスさんから受けていたとされる虐待の詳細を記していた。 もう一つの証拠は、1980年代のプエルトリコのボーイズバンド「メヌード」の、当時未成年だったメンバーによってもたらされた。このメンバーは、当時レコード会社RCAの重役だったホセ・メネンデスさんの自宅を訪れた際、ホセさんに薬物を飲まされ、レイプされたと証言した。 ガスコン検事は会見で、「兄弟は、家庭内での多大な機能不全と性的虐待にさらされていたとみられる」と説明。殺人に弁解の余地はないが、「彼らは社会に対する借りを返したのではないか」と述べた。 兄弟の量刑の見直しについては今後、裁判官が決定する。仮釈放については、仮釈放委員会が検討する。 ガスコン地方検事は、自らの再選がかかった選挙を10日ほど後に控えている。世論調査では対立候補に30ポイント差でリードされるなど、厳しい戦いとなっている。ただガスコン氏は、今回の発表は政治的なものではないと述べた。 この殺人事件は何年にもわたってアメリカで関心を集め、最近では米ネットフリックスの人気ドラマシリーズのモデルとなった。 (英語記事 Top LA prosecutor backs Menendez brothers being released on parole)
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