益子直美「バレーなんて嫌い!見たくも、関わりたくもない」感情に潜んでいたバレーボール人生愛
引退後、「バレーボールに触ることすらなかった」と話すのは、元全日本のエースで女子バレーをリードしてきた益子直美さん。嫌いだけど、離れなかった世界。益子さんにバレーの楽しさを導いたのは、障がい者やLGBTQの方たちでした。(全5回中の1回) 【画像】神妙な面持ちで家族の横でトロフィーを手にする選手時代の益子さんほか(全14枚)
■嫌いだったバレー「親友からの言葉」にハッとした ── 引退後、「バレーボールが嫌いだった」と明かされ、ずっと距離を置いてきたとおっしゃっていました。 益子さん:バレーなんて嫌い、見たくもないし、関わりたくない。そう思って、ずっと距離を取っていて、実際にプレーもしませんでした。
でも、50歳を過ぎたころ、数十年来の親友から、「本当は嫌いじゃないでしょ?だって、ずっと関わってるじゃない」と言われて。なんのことだろう?と思っていたけれど、そういえば、1996年からシッティングバレーボールのボランティアをやっていたんですよね。 シッティングバレーボールとは、下肢などに障がいのある選手が座ってプレーするバレーボールで、パラリンピック競技にもなっています。そこで、ボランティアスタッフとして玉拾いをしたり、練習のお手伝いをしていました。
── きっかけはなんだったのでしょう? 益子さん:現役時代、オリンピックに行けなかったことが心残りだったんです。現地にぜひ行ってみたいという思いから、1996年にスポーツキャスターとして、アトランタオリンピックに行かせてもらいました。 帰国後、オリンピック・パラリンピックの総集編をテレビで観ていたときに、シッティングバレーボールの存在を知り、「こんなバレーがあるのか!」と衝撃を受けたんです。調べてみたら、日本のシッティングバレーのチームで、知り合いがコーチをしていることが判明。そこで、ボランティアとして参加したいと手を挙げて、2000年のシドニーパラリンピックに出場するときには、プライベートで現地にも行きました。