第93回選抜高校野球 健大高崎、戦い振り返る 自慢の打力、夏こそ 投手陣は大きな成長 /群馬
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で健大高崎は、25日の2回戦で天理(奈良)に0―4で完封負けを喫し、甲子園を去った。「強打」で昨秋の関東大会を制覇し、前評判の高いチームだったが、その打力は十分に発揮されずに終わった。【川地隆史】 昨秋の公式戦10試合で計15本塁打を放った。出場校32校中で最多の本塁打数。走塁で相手を揺さぶる伝統の「機動破壊」に、上位から下位まで打線に切れ目のない「強打」も加えて、関東大会を連覇した。 1回戦の下関国際(山口)戦は快勝はしたものの相手投手を打ちあぐねた。選手には甲子園という大舞台の緊張感と、それまで移動続きで満足に打撃練習ができなかったことが影響した。生方啓介部長は「準備する間もなく、いつもの流れで試合に入れなかった」と振り返る。 二回に伊藤翔哉(3年)の中越え適時打などで2点を先制したが、以降は自慢の打線が沈黙。それでも「らしさ」を見せたのは、八回の主将の小沢周平(同)の一打。「低めの変化球を見極めよう」と修正して打席に入った小沢。鋭く振り抜いた打球は、スタンドには届かなかったが、ライナーで右翼フェンスを直撃した。 2回戦では天理の主戦・達孝太(同)の攻略が鍵だった。この試合で達は試合中に、自己最速の148キロを計測するほど直球が走っていた。加えて要所で投じられたフォークにも苦しめられた。 健大高崎打線は達の193センチから投げ下ろされる高めの直球に差し込まれ、フライアウトは13を記録した。天理戦に向けて、打撃投手をベンチの上に乗せて投げさせ、長身からの投球に慣れさせる「達対策」を講じたが、この日安打を放った堀江晃生(同)は「今までやってきたことを全て出し切れる場所ではないことを痛感した」と悔しさをにじませた。 2回戦で先発した野中駿哉(同)は変化球を狙われ二回途中で降板。野中は「自分のせいで負けた。チャンスがあるならもう一度、投手として勝負したい」と雪辱を誓う。その一方、昨秋は抑え投手だった高松将斗(同)が1回戦で2失点完投するなど投手陣に大きな成長が見られた大会でもあった。捕手・綱川真之佑(同)の「高松の持ち味の2種類のスライダーを生かした」リードも光った。昨秋はけがに泣いた今仲泰一(同)も2回戦で公式戦復帰を果たした。持ち味の速球は140キロ台を計測し、打者16人を2安打無失点に抑えた。 「日本一」を掲げたセンバツ。目標は果たせなかったが主将の小沢は胸を張ってこう話した。「やってきたことに間違いはない。まだ夏がある。次は精神的にも技術的にも優位に立てるように、この経験を生かしたい」