「高給職=AI関連職」の時代が到来?高まるAI人材需要が労働市場に与える影響
あらゆる業界でAI人材の需要が急増
AI関連職の求人数も増加の一途を辿っている。 LinkedInが発表したレポートによると、OpenAIがChatGPTをリリースした2022年11月以降、ChatGPT関連の求人は21倍に増加したという。また、米国の求人サイトIndeedでは、生成AI関連の求人がここ1年で5倍近く増えており、中小企業を中心とした求人アプリZipRecruiterでは、2023年7月の生成AI関連の求人数は1,309件と過去最高を記録した。 LinkedInのチーフエコノミスト、カリン・キンブロー氏は「“仕事の進化”は従来と比較して非常に速くなっている」と指摘する。前述のBizreportでは、2024年にはコンピューターサイエンス市場におけるAI関連職は13.1万件以上発生する可能性があり、同業界の30%がAI関連になると予測している。また、LinkedInの登録者は、自分のプロフィールにAI関連スキルを記載する人が急速に増えているという。 実際、AIを「使える」人材需要は、多くの業界で高まってきている。直接開発に関わらずとも、AIを仕事で利用する機会は今後どの業界でも増えていく。中でもチャットボットでの顧客対応などすでに導入が進んでいる金融サービスや小売業では、スタッフのAIスキルの習得スピードは他業種と比べても著しく速い。 かつて「コンピューター」が普及し始めたとき、人々は「コンピューターに仕事が奪われてしまうのではないか」と危惧したが、実際は「あらゆる仕事でコンピューターが活用されるようになった」という方が正しい。 AIをこれと同列考えるべきではないかもしれないが、「AIを使いこなす」ことは、あらゆるサービスや業種、職種で求められるスキルになっていくことは確かである。「AIが当たり前の時代」になったとき、労働市場はどう変化しているのだろうか。半歩先の未来を、見てみたい気がする。
文:矢羽野晶子