〈アサド政権の崩壊で起きるシリアと中東の苦境〉それでも“新シリア”を後押しすべき理由
イランの苦境と世界にとっての危険
イランはレバノンのヒズボラへの兵器援助をシリア経由で行っていたが、それが不可能になり、ヒズボラのさらなる弱体化は避けられないものになった。イランが誇ってきた抵抗の枢軸はシリアが抜ける中、劇的に弱くなったと見てよい。 イランについての一つの懸念は、イランの状況が苦しくなる中で、イランが核兵器開発を加速化する危険が出てきていることである。イランは60%に濃縮されたウランを持つと国際原子力機関(IAEA)は言っているが、広島に投下されたLittle Boyは60%濃縮ウランで出来たものであり、イランは核兵器保有に近づいている。サウジの皇太子MBSはイランが核武装すればサウジも核武装すると公言しており、中東で核兵器が拡散する可能性が出てきている。 またシリアは化学兵器を持っており、その取扱いも大きな問題である。 中東情勢はアサド政権の崩壊により、大きな変化の時を迎えていると判断される。ただ、アサド政権という酷い独裁政権がいなくなったことは、上記の社説も言う通り、「祝賀すべきこと」である。
岡崎研究所