阪神・平田ヘッド 84勝でもV逸した06年「ナゴヤでほんと勝てなかったからね」 連覇へ強力ライバルの出現警戒
球団史上初の連覇を目指す岡田阪神。実現の前に立ちはだかる“魔物”とは…。かつて夢破れた虎戦士が、後輩たちに提言する企画。今回は2006年にも岡田監督とともにV2へ挑戦した平田勝男ヘッドコーチ(64)。18年前の記憶をたどりながら、大願成就への警戒点を挙げた。 ◇ ◇ 春季キャンプイン前日のミーティング。岡田監督は前政権時に連覇を逃した苦い記憶を、次のように選手に伝えた。「85勝だったかな、去年。2006年ってね、連覇がかかってたんだけど、140試合で84勝したんよ。それでも2位に終わった。やっぱり勝ってしまうと、2位じゃダメなんかな」-。平田ヘッドの脳裏にも『84勝』の重みが深く刻まれている。 06年はシーズン佳境の8月27日以降、23勝5敗1分けの勝率・821。首位・中日に対して、2位・阪神が驚異的な追い上げを見せた。それでもあと一歩届かずに、涙をのんだ。 平田ヘッドは「監督がキャンプでも言ったように、84勝しても優勝できなくて。あのときはドラゴンズも強かったというのもあったんでね。中日の投手陣なんて圧倒的に良かったしね」とライバルの強さを述懐。この年、ナゴヤドームは11戦10敗の鬼門に。「(宿舎からの)道を何回変えてもダメだったり、そういう験かつぎもしたけどさ。ナゴヤドームでほんと勝てなかったからね」と悔しさをよみがえらせた。 「今年もそういうチームが出てこないとも限らないしね。巨人も監督が変わったり、他のチームも補強だったりレベル上がってきてると思うんでね」。昨季は独走Vとなったが、球団初の連覇に挑む今シーズン、強力ライバルの出現を警戒する。「特に今年はタイガースを意識すると思うんだよ。その辺がまずは去年と違うというのがあるんじゃないかな。他の5チーム全部がウチを意識して戦ってくるだろうし」とチーム全員で“王者の宿命”を背負う覚悟だ。 現役時代の86年にも岡田監督との二遊間コンビで連覇への戦いを経験したが、「あのときはあんま連覇という意識なかったもんね」と回想する。「今の選手は口々にアレンパと言ったり、報道もいろいろされるんで、意識してくれている。監督もはっきり連覇を狙うって言ってくれたり。去年、優勝でみんながハッピーになるんだっちゅうことが分かったので、今年もう一回、優勝の味を味わいたいっていうだけの話やん」。首脳陣、選手、フロント、そしてファンが一体となって、V2の歓喜をゴールに走り出す。