「ドライバーのロフト」立ち気味傾向は続くのか?/女子プロクラブ考VOL.1
例えば穴井詩はキャロウェイ 「エピックフラッシュ サブゼロ ダブルダイヤモンド」の8.5度を使用しているが、同ヘッドは低スピンでつかまりも抑えられたモデル。穴井のようにボールをつかまえて高さを出せるパワーと技術があるなら使いこなせるが、我々一般男性アマチュアのHSだと、ロフト角が少ないとボールが上がらない上に、つかまりも良くないので、飛距離に直結しないばかりか力が入ってミスも誘発するだろう。 ロフト角が少ないと効率が良いインパクトを迎えやすいことは確かだが、やはり体を鍛えたり、アッパーで当てられるようなスイングの技術を向上するなどのプラスアルファのスキルが必要になってくる。
ロフト8.5度のドライバーを使用している選手は穴井の他にもいたが、4人とも同じスリクソンで、櫻井心那は「ZX5 Mk II LS」、山下美夢有は「ZX5 Mk II」とダンロップのツアーモデル。ダンロップのドライバーの共通点はツアーモデルでもボールのつかまりがよく、そのためロフト角が立っていてもボールがつかまらないということが起こりにくい。ロフトが立ったドライバーで飛ばしたいと考えるなら、こうしたつかまりのいいヘッドを探してみるのもひとつの手だろう。
ロフト10度以上に共通するのは「低スピンヘッド」
ロフト角10度以上のドライバーを使う残りの13人に共通するのは、低スピンのドライバーを使用しているということ。つまり彼女たちは、低スピンのヘッドを使いつつも、ロフト角を増やすことで”低スピン過ぎ”を防いでボールのつかまりをよくしているのだ。
ピン「G430 LST」を使用する渋野日向子、鈴木愛、セキ・ユウティンは、ロフト10.5度。テーラーメイド「ステルス2」を使う山内日菜子、「ステルス2プラス」を使う稲見萌寧もロフト10.5度を選んでいる(稲見は昨秋時点。現在はQi10 LS の10.5度を使用)。こうした低スピンヘッドを使いたいと思っているアマチュアの方は、やはりロフトは多目なほうが、ヘッドの特性を生かして飛距離アップにつなげられるだろう。 今や、彼女たちのほとんどが個人で弾道測定器を所有し、データを計測し、スイング作りやクラブ選びに反映している。さらに、ほとんどの選手のクラブには可変スリーブが装着されているドライバーを使用しているため、コースやコンディションによってロフト角を調整しているのも事実。 自分は「ロフト角何度がベスト」と決めつけずに、測定器などでデータを測り、自分のスイング軌道や入射角などをよく見て、最終的にロフト角を決めることをオススメしたい。その際に、女子プロの使用ヘッドとロフトの関係性を見るのはとても参考になるだろう。(文・田島基晴)