上白石萌歌、“変革期”だからこそ大事にしたい俳優としての矜持 溢れる映画への思いも
ーー今後監督をやってみたり脚本を書いてみたりする可能性は? 上白石:監督や脚本家の方にはリスペクトがものすごくありますし、自分にできるはずがないと思っているので、まずは監督や脚本家の方が渡してくださったものにちゃんと応えられるような俳優になりたいなというのが一番にあります。 ーー俳優の方が監督に挑戦される機会も多くなってきている印象です。 上白石:そうですね。いろんなお仕事の境界線がなくなってきていて、歌を歌う方がお芝居されたり、逆にお芝居する方が歌ったり、監督とか俳優とか、そういうボーダーがどんどんなくなってきている気はします。だから俳優というものだけに固執しなくてもいい時代というか、どんどん可能性が広がってきている時代だなと実感しています。 ーー撮影現場においても日々いろんな変化がありそうですね。 上白石:ものづくりをするのは本当に極限の肉体労働だと思っていて。それは部署関係なく、俳優部もそうだし、映像のチームもみんなそうなんですけど、まだまだ課題はたくさんあるけれど、どんどん人が人としての生活をちゃんと送れるようにはなってきているかなと。撮影後から撮影開始まで8時間は空けるとか、そういう取り組みが広がってきているとは言いつつ、お子さんがいらっしゃる方が悩みながらやっていらっしゃったりもするので、まだまだこれから変えていかなければいけないところもありますよね。それに、今はドラマや映画もどんどん増えてきているじゃないですか。 ーー本当に数が多いですよね。 上白石:ワンクール何本あるんだろうっていうぐらい、ものすごい数が増えてきている今だからこそ、ひとつひとつの作品の質が問われている気がします。その中で自分は与えられた役割をしっかり果たすことを意識していて。とにかく“変革期”だなとものすごく感じています。 ーー舞台、映画、ドラマも含めて、上白石さんは幅広い作品にご出演されていますが、出演する作品を選ぶ際の基準みたいなものはあるのでしょうか? 上白石:いや、まだまだ選ぶような立場ではないんですけど……。でも、やっぱりどういう人とご一緒したいかとか、どういう人たちとものを作っていきたいかというのは、一番大事にしていて。今までの自分の出会いを振り返ったときに、全部に意味があるし、全部のご縁を大事にしたいと思えることだらけなので、どんな人と一緒にやりたいか、そしてその人と関わる中で、自分もちゃんとその役目を果たせるのかということを一番に考えています。 ーーデビューから12年になりますが、なにか自身の中で変化を感じることはありますか? 上白石:年齢的にもまだまだ10代だと思っていたらもう24歳ですし、社会人で言うと2年目の年で。やっぱり10代のときは、責任は感じながらも、「まだ学生だから」という気持ちが少しあったのかもしれないんですけど、いよいよ大学を卒業する年になったときに、自分は本当にこの道を全うしたいんだという気持ちが芽生えてきたんです。より、お仕事をする相手にとって心地良い自分でいたいなと思うようになりましたし、なるべくいろんな人と対等に話してものを作っていきたいなという気持ちが、どんどん芽生えてきているところです。 ーー最後に、今後なにか挑戦してみたいことがあれば教えてください。 上白石:えー、なんだろう……。でも、面白いなと思ったことはどんどんやっていきたいです。あと、この前写真の展示を初めてやったんです。自分で撮った写真や撮られた写真の展示をやったんですけど、そういう新しいことがものすごく刺激になったりしたので、なるべくアンテナを日頃からいっぱい立てて、「この監督のこの作品が面白い」とか「こんな人がいるんだ」っていうのをもっともっと知っていって、その面白いことに自分も参加できるようになっていけたらいいなと思っています。
宮川翔